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りすん

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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挑戦している小説 ★★★★★
一作目のアサッテの人が好きな人は、きっとこの作品も好きだと思う。
共通して言えることは、作者は小説の中で、書くことに対して挑戦しているように思う。
会話形式で進む話の展開の中で、それでも登場人物の感情が伝わってきた。
すごく不思議ですてきなな小説だった。
おもしろい! ★★★★★
言わずと知れた芥川賞受賞作『アサッテの人』は最高だった。近年稀に見る「小説について考える小説」だった。小説は読む(read)ものでそれについて考えたくなんかないという人にはあまり向かない。出来合いのストーリーにとりあえず感動したい人は、そういうものは他にたくさんあるので、そちら方面をどうぞ。別に小説じゃなくてもいい。この第2作『りすん』(listen)も当然、諏訪哲史氏の「小説に淫した小説」である。一見悪乗りにしか見えないという視野狭窄にも結構小説家は寛大である。どうぞお好きなように。それにしても、小説に限らず、なんでも一義的に還元しなければ気がすまない原理主義的な態度はどうなの? こんなの小説じゃない、とかね。そんな読者の主観の惰性をあぶりだす仕掛けは当然あるんだけれど、別に「野心的な試み」とかそういう肩の凝る「まじめな文学」論議に嵌まってしまうと諏訪氏の思う壺ですね。19世紀末フランス象徴主義のちょっと前の小ロマン派、シャルル・クロスとか、あの辺りの皮肉なメンタリティを継承する希少な作家ですよ、諏訪哲史氏は。読むことのヴァージョン・アップ。Listen(聞け)というタイトルに誤魔化されないように。勿論、トリックですから。