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ヴィパッサナー瞑想 実践レポートと解説

価格: ¥1,500
カテゴリ: 単行本
ブランド: グリーンヒルWeb会出版
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ヴィパッサナー瞑想のより深い理解の為に ★★★★★
この本は月刊誌の合冊本であるが、内容としては合宿体験記、それに対するコメント、そして巻頭言の3つが主要なものとなる。

まず合宿体験記であるが、18人、19の体験記が載っている興味深いのは成功体験より苦労した体験のほうである。初心者には苦労した体験が役に立つ。具体的には、昏沈睡眠の為に瞑想にならない、妄想が多く出てサティ(気付きのラベリング)が入らない、途中までサティが入るが途中からサティを忘れてしまう、などの苦労した体験や、サティにより自分の姿が顕になりショックを受ける、サティによる消滅現象、サティによる瞬間定、など効果が出た体験などもある。

 特にヴィッパサナー瞑想ではそもそも何が失敗なのか気付き難い特徴がある。自己を見る手段が自己の内に含まれているので間違っても気付き難い。それを補正するのが合宿の中では面接であるが、同様に瞑想体験に対する読者の独自解釈を防ぐ役割を果たしているのがコメントである。体験記を書いた人にとって自分の体験の一つ一つが大問題に見えてしまうが、あくまで心を浄らかにするという最終目標に向けてどうかという観点からコメントは述べられている。目先の問題解決に向けて、それがちな視線を元に戻し、ヴィッパサナー瞑想システムのより深い理解をもたらしてくれる。

 そして、これらの理論的な補助が巻頭言である。例えば「たんにドゥッカ(苦)に遭遇しただけではダメなのです。ドゥッカ(苦)を生み出す心の仕組み、物事の本質、現象世界に対する構造的理解がなければ、人は限りなく欲界に巻き込まれていきます。」という言葉から、ヴィパッサナーが構造的理解を深める為のものということに改めて気付くことが出来る。

 以上見たように、この本では実際の修行者ですらなかなかわからない他の人のヴィッパサナー体験を知ることが出来、更にその体験の理論的な解釈と裏付けとなる理論を知ることが出来る。ヴィパッサナー瞑想に興味を持つ人の全てにお勧めする。
実践と指導の貴重な現場報告 ★★★★★
ヴィパッサナー瞑想の実践のための基本的な入門書として『ブッダのヴィパッサナー瞑想法「基本マニュアル」増補・新版』(地橋秀雄著、グリーンヒルWeb会)があるが、本書は、ヴィパッサナー瞑想の理解と実践をさらに深めたいと思う人におすすめである。

中心内容は地橋氏による瞑想随想20編、瞑想合宿等での瞑想の体験記18編、そしてそれに対する地橋氏のコメントである。体験記そのものも、実践を続けていくうえでの励ましになるが、さらに体験記に即した、きめこまかなコメントは、多くの瞑想者に共通する疑問や迷いにも触れ、瞑想を続ける上での大きなヒントになる。

これだけ具体的にヴィパッサナー瞑想の実践と指導の現場をレポートする本は、もちろん日本でははじめてであり、瞑想者にとってきわめて貴重である。

瞑想の優れた参考書 ★★★★★
 原始仏教・初期仏教の修行法であるヴィパッサナー瞑想。最近、この瞑想に関する書籍が相次いで出版されていますが、本書は、そのヴィパッサナー瞑想に実際に取り組んだ人たちの実践レポートと、その解説です。
 同じ著者の、「ブッダのヴィパッサナー瞑想『基本マニュアル』」では、ヴィパッサナー瞑想とはどのようなものなのか、その実践方法が具体的に説明されていますが、本書では、20名近い人たちが、いかにこの瞑想に取り組み、成果を上げていったかが詳しくレポートされています。その中には、瞑想初心者から、カニカ・サマーディ(瞬間定)といわれる特殊な状態を達成した人まで、様々な段階の人が含まれています。
 一般的に、瞑想体験というものはきわめて個人的なもので、他の人に語るということはほとんどありません。したがって本書の内容は、瞑想に取り組んでいる人にとっては、大変参考になり、大きな指針となるものと言えるでしょう。また、実際には瞑想を行っていない人にとっても、ヴィパッサナー瞑想というものがどのようなもので、具体的にはどのように修行が行われていくのかを垣間見ることができる、貴重な資料となると思います。
 「ブッダのことば」(スッタニパータ)や「ブッダの真理のことば・感興のことば」(ダンマパダ、ウダーナヴァルガ)等の原始仏典には、「瞑想」という言葉が頻繁に登場しますが、「ブッダ(お釈迦様)の言う瞑想とは、このようなものであったのか」と、納得できる一冊です。