斥力の音楽
★★★★★
同じJ.マッケンタイアが太鼓を叩くポストロック・バンドでも、ボーカルありのThe Sea and Cakeがロックに接近しながらもカスるように外す寸止め感で勝負しているのに対し、ボーカルレスのTortoiseはロックの文法を撒き散らかしながらもロックのコアからどんどん離れていくような斥力のバンドだと思っている。
冷たい音響を味わえた初期作から較べると、本盤はシンセがソロ楽器として大活躍しており時にジャーマン・ロックやボアダムスのような音楽と接近してみせる。(日本盤特典12曲目のEYEミックスも格好良いですよ。)
全体的感想としては、メンバーは演奏しながら大汗かいてそうなんだけど、出来上がりのパッケージは至ってクールな聴き心地なのが魅力的です。こういう否(アンチ)ホニャララなベクトルの音で進化し続けるというのは、そりゃあ大変なことだと思います。この肉感は初期には無かった味ですが、大したもんですね。