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凸凹デイズ (文春文庫 や 42-1)

価格: ¥610
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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読者を限定する軽い小説 ★★☆☆☆
後楽園をもじった慈極園、電通と博報堂をパロった、デンパクドー。
そう言ったのに紛れて「バーバパパ、スヌーピー、タモリ倶楽部、十六茶、リンダリンダ、ムーミン、ガリガリ君」。
ついでに、「渋谷、新大久保、大井町、自由が丘、池袋、阿佐ヶ谷、祐天寺」。

作者はノリノリで頭に思い浮かぶイメージを名前にして書き、小説舞台の雰囲気を出そうとしているのだろうが、
これらを知らない読者のことは、一切考えないのだろうか?
まさに読者を限定するような小説だが、これでは余りにも稚拙に過ぎる。

固有名詞で印象付けをするなど、誰にでも出来てしまう。
なぜなら作者自身が頭を捻って考え出し、判りやすく描写したものではないからだ。
文字を使って説明する作家が、こんな安易な小道具に頼って物語を作ると、
見事にこんな小説になるぞと言う良い見本かも知れない。

なにしろ、無駄な描写も多すぎる。
冒頭に関しても、いきなり遅れて打合せ場所に入ったシーンから初めても良いはずだ。

それをテレビドラマみたいにいちいち無駄なシーンを挟み、
ストーリーに関係ないウサギの着ぐるみまでを登場させ、余計な描写でページを埋めている。
だからいやにダラダラしていて、つまらない。
ストーリーも至って普通。まるで少年漫画レベルで、大人の世界を描くものでもなければ、
若者の真剣な姿もない。変に軽い普通な生活しかない為、余計にダラダラ書かれた文を読むのは辛い。


背広姿のお偉いさんらが交わした、「マーケッティング戦略、リサーチの結果、ユーザー本位」という言葉が、
『全て嘘くさく、薄っぺら』だと主人公に言わせているが、
はっきり言って、そのまま作者に返したい。
かっこつけて横文字を使う人らと、商品名などをぱかぱかと出す作家と何が違うのか。

無駄に商品名などを書き、余計な描写を削らないことによるページ数が肥大化した小説は、
却って嘘くさく、薄っぺらい物にならないだろうか。
元気がもらえる物語 ★★★★★
元気がもらえる物語。三人しかいないデザイン会社で起こる仕事や日常の物語。仕事をしている人々なら理解できるシチュエーションが盛りだくさん。仕事上の問題、飲み屋での愚痴。でもこのデザイン会社(凹組)の面々はその全ての場面で「熱さ」で乗り切っている。でもその「熱さ」は内なる闘志のようなもので表面には現れない。読者である僕達はこの熱さに反応するのである。そして元気をもらう。良い物語です。

特出すべきは読みやすい作品です。すぐ物語の世界観に飛び込むことができました。初めての作者ですが、いい作品に出会えました。
書き下ろし短編「凸凹ホリデー」収録! ★★★★★
弱小デザイン事務所凹組は中年のおっさんデザイナー黒川&大滝と若い女性、凪海の3人組。
落ち目の遊園地のCI事業をめぐって大手デザイン事務所と競うことになるのですが、
その事務所の美人女社長と凹組の間の過去の経緯を縦糸に「地味にホットな」お仕事の日々が描かれて行きます。

単行本で読んだ時はまず第一に語り口の軽さに惹かれました。
軽いということはともすれば「印象の薄さ→後に何も残らない」と言うことになりがち。
でも本作の場合、派手な展開こそありませんが過去と現在を登場人物たちの視点を変えながら描くことでちゃんと彼らの息遣いや苦悩が伝わってきます。
このスタンスは山本さんの他の作品にも言えますね。
すべて口当たりは軽いのですがちゃんと伝わるものがあります。
これって簡単なようで難しいと思うのですが、こういう「頼りになる」作家さんは応援したくなります。


「お仕事小説」として多分、本作は作者にとっても思い入れの強い作品なのでしょうね。
と言うのも山本さんの他の作品に凹組の面々が意外な場面でポッと出てくることが多い気がしますから。
それもあってか今回の文庫化に際して、書き下ろし短編「凸凹ホリデー」が加えられております。
こういうサービス精神にも好感度が上がります。
相変わらずのようでいて、でも微妙に成長した凹組の4人の頼もしい姿と再会できます。
ちゃんと山本作品のお楽しみ、他の作品とのクロスオーバーもあります。

ハードカバーで読了済みの方も是非。
物語が自然に動き出すキャラの設定がたくみ ★★★★☆
野心に満ちた女と、天才肌なのに気取りがない男、今も童心を残す元純朴青年という三人組に、純朴青年の10年前のような元気な女の子がからんで引き起こすストーリー。同じような性格のキャラの10年前・10年後のストーリーを二重写しにしながら進む展開で、かぶる部分が冗長になるきらいもあるが、感動的でかつ説得力のあるエンディングだった。
働くことに、迷子になったら。 ★★★★★
たった3人の弱小プロダクションで
デザイナーとしての第一歩を踏み出した新人女子の奮闘記。

広告事情に精通した著者が作り出す世界はとってもリアルで、
働くことの原点に立ち返られるチャーミングな一冊でした。

「この遊園地はあの遊園地かな?」などと
考えながら読み進められるのもまた一興。


山本幸久さんの本はどれも好きなんですが、
人を見る目が温かみにあふれていて
読み終わったあといっつも胸がほんわかします。

働き続けてちょっと疲れて、
なんとなく立ち止まっちゃったときに読むと
なおさら心に響く気がしました。