文庫化には、キャラクタ別の視点で短編を加えてくれたら……。
希望的観測です。

読みやすくは、ありました。
タイトルコールの先輩、あまりにも出番が少ない。描写が半端すぎてもったいなかったですね。
もう少しヤマコに構ってやってる先輩とか、馴れ馴れしいにも程があるくらいが欲しかったです。
愛治も半端で結局お飾りアイドル止まり。裏では煙草常習の不良ですか。ちっこい場所で大胆な行動。
ところどころ、気になる箇所はあるけれども。
病院帰りの虚弱娘をひとりで夜道帰らせるのかよ父親よ。
八方美人装ってたのがバレた途端やめちゃうってどんだけ根性無しだ愛治。
ヒロイン病弱設定ではあるけれども。
暗い雰囲気ではなかったので良かったです。
いい意味で淡々としていて、お話としては好みです。
ラスト、面会時間過ぎたあと、先輩が病室にやって来た場面が好きです。

ドラマCDで聴いてみたかったお話でした。
優しくない先輩は野島裕史氏で。

泣いちゃいました。

映画の原作ということで興味を持ち、キャストからライトな内容かと思いきや、このラストですか、という感じで思わず泣けました。

ただ、もうちょっと先輩、ヤマコ、愛治くん、喜久子の関わりが濃密に描かれてれば、もっと感動できたかな。
ヤマコの一人称なのでヤマコはともかく、他のキャラクターの魅せ方がいまひとつ。

続編として収録されている「吉乃さんはいいひとだから」でその点はクリアされているかと。

この本を初めて手に取ったのは５〜６年前でした。
日日日さんの初期の作品で、まだちっとも注目されてなかったけれど、高校生が書いた作品という事で興味をもって買いました。
まずタイトルがいいですよね！
中高生の女の子なら、特にぐっと惹き付けられるのではないでしょうか。
構成や心理描写にまだ未熟さや素人っぽさが残っています。
けれど、読んでいて違和感を感じるほどではなく、むしろそれが瑞々しい女子高生を描写するのにぴったりの新鮮さをもっているのではないでしょうか。
ラストの自然描写は、死に際の風景としてとても美しいものだと思いました。
こんなふうに、自然の恩恵を体全体で感じながら、最期を迎えられたらいいと思ってしまいました。
実は、そこが一番印象に残っているところなのです。

映画化楽しみです！