五年越しに初読みです。
★★★☆☆
読みやすかったです。
デビュー当時からこの読ませ方をしてたのかとびっくりです。
受賞当時名前は知っていました。でも作品はひとっつも手に取らなかったです。
角川文庫から出ているのを知り、衝動買いです。
キャラクタの根本もしくは原因がちっとも分からなかったですね。
オカルト好きの原因や虐待の理由。
こういう設定なんだ、とはいえ一文くらい足すべきでは?と思いました。
ラスト、飲み込めなかったんですが。
意味が分からない。説明されないと分からないラストの書き方もどうかと。
ジャケットは元版元の方が良かったです。
新風舎は悠久の向こう
★★★★☆
『ちーちゃんは悠久の向こう』です。
『幽霊好きの幼馴染・ちーちゃんに振り回されながらも、「僕」の平穏な日常はいつまでも続くはずだった。疑いもしなかった「変わるはずがない日常」が音を立てて崩れ落ちていくさま、それをただ見続けるしかない恐怖を描いた、新感覚のジュブナイル・ホラー。世紀末の退廃と新世紀の浮遊感を内包した新時代作家・日日日(あきら)、堂々デビュー。』
日日日の数ある受賞作の内の一つです。ホラー、というほど恐怖があるわけではありませんが、ちょっと不気味なミステリーといった感じです。
表紙はともかく本文にイラストは付いていません。が、キャラ的にも設定的にも、一般文芸というよりはズバリ、ライトノベルです。
内容的には、普通に上手い、という感じ。複数受賞の大型新人高校生、という過度に期待した目で見ると肩透かしになりそうですが、確かに下手ではありません。
冒頭からいきなり虐待設定が出てきて唖然、というところなど、欠点も挙げればいくらでもあるのでしょうけど、それなりにしっかりした文体での語りで世界観を楽しむことは充分にできます。既存作品とのかぶりも多少指摘されているようですが、それほど気にしなくてもいいと思います。それを言うなら、世のライトノベルは劣化ハルヒ作品ばかりですし。
ラストも、ちょっと唐突に伏線を強引に束ねてしまっていて「えっ」と一瞬思ってしまいましたが、これはこれでいいのだと思います。
作中にも作者の持つテーマが盛り込まれているようですし、そういう意味では『狂乱家族日記』とか『蟲と眼球とテディベア』のような他の受賞作と深い根っこの部分で共通していて、日日日の個性が出ている、といっていいのだと思います。
狂乱や蟲のような続編は無く、一冊でしっかり読み切れるのが良いです。ただし、出版社は既に倒産してしまっていますが。
評価は、普通に良かったので★4といったところです。
この本が幽霊そのもの
★☆☆☆☆
ヒロインがオカルトにはまった理由も意味が分からないし、
親が虐待する理由も虐待自体の表現も深みがない。
ラストに至っては意味が分からない。
誰の行動にも原理や理念が感じられず人物も話も繋がらない。
読了後には疑問符だけがのこっている。
突拍子もなく出てくる人物たちは肉づけされることもなく、幽霊のようだ。
物語自体そのものに根っこがない。足がない。
ライトノベルは多少の荒唐無稽さや突拍子もなさに目を瞑るものだが、
これは自分には少々破綻しすぎていてついてゆけなかった。
文章がいいと前評判を聞いていたが、特出すべき点もなし。
良質なジュブナイルを期待してる人にはおすすめできない。
「なぜか」印象に残ってしまった本
★★★★☆
この作品単体の面白さはそれほどでもないのですが、なぜか最後まで読んでしまいました。
それだけの力がある作家さんなんだな、と感じました。
実力の片鱗は感じられたので、他の作品にも手を出してみようかと思います。
不気味かも
★★★★★
日日日さんはライトノベルから入ったんですが、書店でたまたま見かけてこちらも手にとってみました。驚いた。鬱でした。
ライトノベルではけっこうお馬鹿な話ばかり書いている印象があったので、ちょっと新鮮に重いながら最後まで読みました。ファンタジー要素が皆無(「幽霊」は出てきますが、妄想として語られているし)なので、そこもライトノベルから入った身としては新鮮というか。
おどろおどろしく、不気味。
でもリアル。
一般文芸としてどういう評価を受けているかわかりませんが(レビューを見るかぎり評判悪いっぽい?)、ちょっと違う日日日さんの本を読みたい人にはお勧めかも。
ただ読後感がすごい悪いというか、気持ち悪い……。