本書をテコにして全10巻へ挑戦
★★★☆☆
カエサルの後の継いだアウグストゥスから始まるローマ帝国史。
全10巻を、わずか上下2巻に圧縮。
はしょったところは、中倉さんの解説で埋めて、どんどん先に進みます。
名前しか聞いたことがなかった皇帝や事件などが、つながっていきます。
でも、10巻読んだ方からは、評判良くないですね〜。
神は細部に宿る・・ならぬ、
ギボンが詳細に書き込んだことを圧縮した結果、味わいがなくなっているようです。
でも、おかげで手に取ることのなかったギボンに触れることができました。
これを機会に改めて、岩波文庫かちくま文庫を手に取りたいと思います。
素人でも手が届くようにしてくれた
★★★★☆
名著だし、ずっと読みたいと思っていた。
しかし、実際には膨大な量だし、
全訳本だとなかなか読む気になれない。
だからこのようなかたちで出してもらえると
私のような素人には大変有り難かった。
新訳?普及版?:ギボンに礼を失している
★☆☆☆☆
最近、既に翻訳のある著作を「新訳」として新たに訳出するのが流行である。確かに「カラマーゾフの兄弟」にしても「ロリータ」にしても新訳の方が読みやすいし、注釈の整備、正確さ(自分のわかる範囲でだが)など、優れたところが多くある。しかし、読みやすければそれでいいというものではない。この「ローマ帝国衰亡史」はその例である。相当に古くさい岩波文庫版(絶版)はともかく、そのあと中野好夫氏他の訳(現在はちくま学芸文庫)という優れた訳業が出ているにもかかわらず出版するというのは、さだめし自信のある翻訳なのであろうと思ったが、一瞬にして間違いであることがわかった。ここにおいては普及版という言葉は、「単なるダイジェストである」もしくは「十分な注釈はつけないか、あっても省略する」という意味のようだ。文章としても中野訳に比して勝れたところは毫も認められない。あれだけ浩瀚な書物をこの程度の上下巻に圧縮しようとするのが最初から誤っているし、訳者はそれに値する力量を持っているとは認めがたい。中野訳が手軽に利用できる今、存在価値はなさそうに思う。