「過去編」最大のターニングポイント
★★★★★
ガッツが幽世にその身を置く以前、一傭兵だった時代を描く「過去編」。
何故ガッツは幽世に囚われてしまったのか?何故ガッツは使徒に対して異常な憎しみを持ち、彼らを刈り続けるのか?何故キャスカは心を喪ってしまったのか?物語の根本的な設定に繋がる様々な謎を、ガッツ・キャスカ・グリフィスの過去から紐解いている訳ですが、いよいよその「過去編」も最大のターニングポイントを迎えます。
平民の出でありながら、「自分の国」建立を目指すグリフィス団長の下、一の使い手として剛剣を振るう切り込み隊長・ガッツ、グリフィスを崇拝し、全てを投げ打って彼のためになろうとする千人長・キャスカ、グリフィスのカリスマに惹かれて集まったジュドー、コルカス、ピピン、リッケルトetc.様々な面々が集った傭兵団・鷹の団に、遂に絶頂期が訪れます。
100年戦争最後の激戦となる「ドルドレイ攻略戦」の結末から今巻は始まります。ガッツに対するのはチューダー帝国最強剣士・ボスコーン、キャスカに対するのは因縁浅からぬ居残り騎士・アドン、この戦いに決着がつく時、100年戦争は一旦終結を迎え、グリフィスは救国の英雄としてミッドランドに凱旋する事になります。グリフィスには輝かしい未来が約束され、鷹の団にも最大級の栄誉が施される。その裏で画策されていた陰謀も、既にグリフィスを脅かすものではなく、グリフィス及び鷹の団の行く手を阻むものは何も無い、そんな絶頂期を迎える訳ですが、その直後、物語は大きな転換点を迎えます。
「過去編」最大の見所と言って過言ではない、運命の輪が音を立てて動き出す撃鉄となるシーンが今巻にて描かれますが、この辺の描写は、迫力、緊迫感、盛り上がり等全てにおいて満点。「画力に優れる」という事が、「コミック」という表現媒体においてどれほど有益に働くのかをまざまざと見せ付けてくれますね。最高の魅せ場の一つには間違いなく挙げられる巻です。