モーツァルトの生涯を写真と解説とで分かりやすく記述しています
★★★★☆
天才モーツァルトの生涯は映画『アマデウス』でも描かれていますが、知っているようで知らないことも多いのではないでしょうか。当時の時代背景と共にモーツァルトの生き様と600曲以上にのぼる音楽を目でおえる好著と言えましょう。
ザルツブルク、ウィーン、ドイツ、イタリア、パリ、ロンドンと幼いモーツァルトが辿ったヨーロッパの街が美しい写真と共に紹介されています。当時の華やかなヨーロッパ文化の香りが伝わってくる建造物の数々ですしこのような爛熟した文化がまたモーツァルトを育んだわけですね。
多作でありながら、創作意欲は死ぬ直前まで衰えることはありません。晩年と呼ぶには早すぎる生涯でしたが、モーツァルトの「レクィエム」や「魔笛」「ドン・ジョバンニ」、後期3大交響曲などの比類の無い美しい音楽の質の高さを考えますと、夭逝がいかに惜しいかが伺えます。
自筆譜や彼を取り巻く人々の肖像画、主要作品の解説や現在のオペラの舞台演出等が本書には沢山集められていますので、眺めているだけで音楽が聞こえてくるような雰囲気を持っています。
フリーメイソンと『魔笛』との関係は多くの著書で指摘されていることですが、本書の記述は優しく初学者に分かりやすく説明がなされていますので、納得される方も多いと感じました。
なお、巻末にはモーツァルト関係人名録、年譜が掲載されていますので本書の理解を助けるものでした。
アマデウスの生き様
★★★★★
彼の生涯がダイジェストとしてまとめられています。
各所モーツァルトゆかりの地と建物の写真も収められていて、その軌跡を追うことが出来ます。
意外と頭に入って来ますが、死因を陰謀論で締めるのはちょっと…。
モーツァルト伝説の検証。
★★★★☆
なによりカラー、モノクロあわせて、豊富な写真や図版が目を楽しませてくれます。ウィーン、ザルツブルク、プラハ、ミュンヘン、ローマ、ミラノ、パリ、ロンドンなど、モーツァルトとゆかりのある場所を中心に紹介されているので、ちょっとしたガイドブックとしても読めます。また副題にもあるように、モーツァルトの足跡をたどりつつ、父レオポルトがめざした音楽教育、『アマデウス』が通称となった理由、女性観、音楽家の就職事情、金銭感覚、死の真相、残されたモーツァルトの妻子、そして伝説の誕生と、解説もどこかミステリータッチで、謎を一つ一つ丁寧に解き明かしてゆくようなスタイルが良かったと思います。闇金融にまで手をだそうとした借金の原因が、ギャンブルにあったかもしれないという指摘は、考えさせられるものがありました。どうしても映画『アマデウス』のイメージが強かったので、映画の中のモーツァルト像が、どこまでフィクションであり事実だったことを自分なりに知ることが出来て、興味深いものがありました。映画で、曲が聴衆に受けず不遇な身をぼやくモーツァルトに対し、時代性を超越した作品であることを語るサリエリの言葉が思い出され、あらためて、モーツァルトの凄さを認識しました。全曲のデーターはありませんが、巻末には関連する人物や年表がまとめられています。