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日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集 (創元推理文庫)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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語彙のブラックホール ★★★★★
本文庫は、推理/探偵小説作家:小栗虫太郎(1901〜46)の初期作品を纏めたもので、全5編が収まる。

作品を順に列挙しますと…“完全犯罪”“後光殺人事件”“聖アレキセイ寺院の惨劇”“黒死館殺人事件”“オフェリヤ殺し”。氏は昭和8年(1933)年に、病を患った横溝正史に替って“彗星のごとく”新青年にてデビューした由のエピソードは広く知られている事と思う。その折の、超が付くほどの一大傑作“完全犯罪”も勿論ここに収まっている。松野一夫氏の挿絵が掲載されているのが本文庫の魅力でしょう。

驚くべきことに、本文庫の5編は全て、虫太郎デヴュー後1〜2年の間に集中して書かれている。私は彼の小説を読み始めて約8年経ちますが、その圧倒的な想像力と筆力には何時も感嘆せざるをえません。

虫太郎の文章はしばしば“悪文”とも言われますが、そんな事はけっして無いと思う。彼の文体の特性は…“本来、たいていは<直喩>として書かれる表現を悉く<暗喩>で書いている”…点に尽きよう。初めて彼の作品と接する読者はおそらくその点に躓くかもしれませんが、ひとたび上記の点を了解すると、その途端から彼の描き出す“語彙のブラックホール”に全身ごと巻き込まれる。

上記の性質は寧ろ、私などの後の世代の一読者からすると、例えば瀧口修造さんのようなモダニズム期に活躍した詩人諸氏と同質の感性と解されます。虫太郎は“形而上学詩人”の感覚で文章を書き続けた探偵作家なのだと。正直誇張なく、エドガー・ポー級の頭脳だと思う。残念ながら、現代ではこの様な作家とリアルタイムで出遭うことはありません。

現在、手軽に購入できる虫太郎集の類は殆ど無いです。数年前の、日下三蔵さんの編まれたちくま文庫も入手困難。以前の社会思想社:現代教養文庫に収められた諸作を、どうかもう一度出版して欲しい…というのが、1ファンとしての強い希望です。
本文庫の如き“代表作”のみでは片手落ちです。とりわけほとんど顧みられない秘境もの、伝奇ものなども纏めての体系的な文庫復刻を熱望しています。





論理的な人や推理小説好きは絶対呼んではいけない作品 ★☆☆☆☆
この小説全集の味噌は推理小説全集ではなく探偵小説全集の一言である。
それに惑わされた私は、結局だまされてしまった。
この本は衒学主義にあるにもかかわらず、科学的裏づけが皆無に等しいことです。
まず、作者が勝手に作った創作用語のオンパレードです。
一つ一つのトリックを理解をしようとしてもまったくの無駄。
単に探偵自身が悦に入って様々な仮説を打ち立てて捜査陣を混乱させただけだ。
かえって探偵が出てこなければ単純に解決する事件ではなかったのかと思ったのが私の感想。
鍵のトリックが気になって専門家の知人に読んでもらったところ、
下手でまったく分からない文章と言うほどだから、
真面目にトリックを理解しようとした人はたまった物ではない。
最低文章というのは相手に伝えられてこそ面白いのに、
この作品はまったくそれを無視している。単に妄想と夢想に溺れたい方に進める。
お得です。 ★★★★★
値段の割りにページ数がたくさんあり、黒死館のみならず短編が数編収められており、
かなりお得感があります。しかも短編が普通に本格で、面白いです。
小栗虫太郎はすごいです。何がすごいかといえばこんなの書ける気がまったくしないからです。
現代日本の歴史小説推理小説文学、その他の小説は同時代の文章だからということもあるでしょうが
少しはまねできる気がします。言い換えれば同じ人間が書いた小説と感じられるのです。しかし小栗の
書いた小説ははっきりいって同じ人間が書いたとは思えないし、到底まねすらできそうにないです。
これを読むと平野啓一郎の小説がライトノベルのようにすら感じられます。それぐらい小栗の小説は
衒学的な濃密度が高いです。
挿絵あり! ★★★★★
現代教養文庫が主要作品を文庫化した時に非常に嬉しかった覚えがありますが、本文庫は更に嬉しい事に挿絵が在ります。(おもわず買いあらためってしまった)
まぁけっして読み易い作品ではありませんが推理小説にしては再三再四読んでも飽きませんし理解が深まるどころか、中途半端、解明しきれない部分等がどんどん出てきて読む度に愉しませてくれます。
横溝の本格もこれ以降だし発表された年代等を踏まえて読んで頂くとこの作品の先駆性・凄さが解ると思います。
正直よくわかりませんでした ★★★★☆
3大奇書(あるいは4大奇書)のひとつと言われる『黒死館殺人事件』を読んでみたくてこの本を手に取ってみました。いやはや。覚悟はしていたものの、「さっぱりわからん」というのが正直な感想です。推理の過程に探偵によるペダントリが披露されるのはヴァン・ダインの得意技でもあり、さして珍しいものではありません。ですが、ヴァン・ダインの衒学が推理小説に現実感を与える為の道具であるのに対し、本作の探偵・法水麟太郎はウンチクを語れば語るほど事件が現実世界のことではないような不可思議な世界に入ってしまいます。しかも、法水は雑談をしているのではなく、天文学や西洋中世史などの知識を用いて大真面目に事件を解こうとしているのです。

他の収録作『完全犯罪』『後光殺人事件』『聖アレキセイ寺院の惨劇』『オフェリア殺し』はさほど長くもなく、『黒死館』に比べればはるかに容易に読みこなせる(但し、『黒死館』より後に書かれた『オフェリア』にはペダントリによって謎を解くという同様の手法が採用されています)。特に『完全犯罪』は割と素直な密室もの。但し、なぜかわざわざ舞台を中国にしてロシア人やスウェーデン人を登場人物にしています。つくづく不思議な作家だなあ。