太陽電池を知りたい一般の方にぴったり、入門教科書として適切
★★★★☆
この本以外にもう1冊太陽電池関連の本を購入しました。
ですが、こちらの著作の方が客観的、かつ易しく解説してあり、おすすめです。
さすが日刊工業新聞社から出版されているだけあって、丁寧かつ技術面でも文系の人にも
理解し易く解説しており、適切なレベルで読ませてくれます。
本の構成としては、地球温暖化に対する太陽電池の可能性、将来性に始まり、
批判点・問題点も提示し、日本を含めた各国の支援制度、普及スピード、
どの様に普及すべきか(FITの導入)等に言及しています。
個人的には、メリット・デメリットをデータを含めて、触れている点と、
倫理的な環境〜だけでなく、経済的な面からも太陽電池が優れているかについて語っている点が高評価です。
ただ、本の内容に不満はありませんが、2000円近くの定価で、カラーページは無しというのは
残念でした。一部で良かったから、資料・統計がカラーだとなお嬉しかったので星4つで。
悪くは無いが・・・
★★★★☆
太陽光発電の一番大事な役割についてはもう一考してもらいたいもの。
著者のブログがあるので参考にされると良い。
http://ks.nwr.jp/d/?date=20091216-8
念願のFIT導入/ただ、マイナス1
★★★★☆
本書が低減している固定電力買い取り制度(フィードインタリフ;FIT)は本書の出版とほぼ同時期に決まりました、買い取り価格 約50円/kWh、契約期間10年。まあ、太陽光先進国のドイツ、スペインより条件は良くありませんし、家庭用を中心とし、大規模メガソーラーと呼ばれる1000kWクラス以上の事業用発電所が除外されましたが、大きな一歩だと思います。
本書では、このFITという制度のメリット、これによるドイツ、スペインなどの急速な普及、あっという間にドイツが日本を抜いたことの理由がよく分かると思います。
また、このFITは政策のさじ加減が難しく、スペインでは太陽光バブルを生み、問題を起こし太陽光普及を減速させた事まで説明しているのは良いことだと思います。
太陽光は今非常にブームで当面は急速な普及が期待できるでしょう。ただ、急速な普及では同時に様々な問題が発生し、特に太陽光発電システムの建設コストを、NEDOなどがもくろむような急速なコストダウンを実現しなければ、バブルが弾けてしまうという事も考えておく必要があります。本書を含め、現在の発電コスト46円/kWhを2030年に7円/kWh(これなら火力発電とも互角水準)を実現する明確な道しるべがまだありません。この点のみ、太陽光発電の懸案事項だと思います。
本書の内容につうては、専門家らしく丁寧に分かりやすく、太陽光発電を取り巻く環境を幅広く掲載していて、読みやすいと思います。
ただ、1点、全ページ、白黒印刷なのが残念。グラフや構造図、パネル写真などはカラーであれば、大変使いやすい、より分かりやすい内容だったと思います。
カラーなら定価1800円を2000円にしても価値あるものだと思いました。ここだけ残念です
とことん現実性を突き詰めた本
★★★★★
クリーンエネルギー普及は慈善事業ではない!
なぜ太陽電池が日本に必要なのか、それを導入するためには何が必要か、現状はどうなのか
ということが政策的・経済的側面に主眼を置いて説明されています。
よくクリーンエネルギーに関する主張には、地球温暖化をはじめとする環境破壊の深刻さを訴えた、やや感情論に走ってしまっているものも見受けられますが、この本では環境保護は「後づけの理由でも構いません」(P22)と言いきっています。また科学技術的な内容に偏向し、「夢があるなあ」くらいの感想しか持てないものも多いですが、この本はより社会的、現実的です。
少々ネタばれしてしまうと、太陽光発電によって次のような利益がもたらされると筆者は主張しています。
・エネルギー自給率の向上とそれによる政治力増加
・将来的な電力価格の低下、それに伴う国内産業の競争力アップ
・輸出産業としての利益
・雇用創出、
・関連産業(ガラス、半導体、蓄電、自動車…)への波及効果
…など、政治・経済への大きなメリットとなるものです。
もはや日本には実現に十分すぎる技術があります。
必要なのは量産体制によるコストカット!
その火付け役となる政策!
ちなみに『波に乗れ日本の太陽電池』と銘打ってますが、風力やバイオマスなど、他のクリーンエネルギーについても、同様に現実的観点から検討を行っています。
未来がある、夢がある。
★★★★★
太陽電池の可能性を仔細に分析、提案する一冊。
太陽電池ビジネスについてたいへんよくまとまっている。
明るい未来を信じることが出来る。
まずはCO2問題、エネルギー問題を総括して
立ち位置を明確にする。
そして、「なぜ太陽電池なのか?」という点を
豊富なデータをもとにひとつひとつ説明。
合理的な論理展開を少しずつ積み重ねて
結論へ近づく様は登山に近い。
総体として、非常に大きな、ビジョナリーな
提案となっている。
ネガティブなことを言う前に、これを読んで何ができるか考えてみませんか?
日本再興の切り札がここにある!
もっと広く読まれるべき一冊。