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エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)

価格: ¥980
カテゴリ: 文庫
ブランド: 扶桑社
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おぉ ★★★★★
この不景気にも関わらず良作を復刊してくれた出版社に感謝。
しみじみと心に染み渡る作品です。
美しく切ないジュブナイルSFの名作 ★★★★★
SFの古典的名作の復刊・文庫化。
ずっと探していたんだけど、入手できなかったが、こういう本が復刊されるのは大変うれしい。扶桑社も捨てたもんじゃない。大森望氏が若い頃に翻訳したものを改訳しているが、読みやすい訳文。
たしかに、名作と言われるだけあって面白い。
書かれた当時のアメリカ社会の状況を最後の章までは終末世界を描いたファンタジーっぽい話だけど、ラストはちゃんとしたSFとして成立させている。
それに、主人公と彼が思いを寄せる少女との話は、美しく切ない。
祝復刊 ★★★★★
「ファンタジーだと思っていたらSFだった」が好きな人、暗めの淡々としたファンタジーが好きな人、
猫が好きな人(といっても猫そのもの(?)出てきませんが)、そういう人なら絶対に楽しめると思います。
名作だと思うので、復刊してくれて本当に嬉しいです。
この物語そのものが、謎ではなく、たずねたことも知らない質問に対する答えだという気がした ★★★★★
召喚されたのか昇天したのか、語り手のラッシュが天使の前で目をあけるシーンから本書は始まります。ささやかな、いつわりのものだからこそ貴重な夏、お互いにけっして離れることができないように思えたエンジン・サマー。そこからラッシュが失ったものを探していき、聖人になることを夢みた10年の物語が本格的に始動します。ただ本作は冒頭から開示されているように構造的に多層となっており、物語が再生し循環するとき、物語が二重にそして永遠に忘れられるとき、すべての認識が更新されるという壮大な時の物語でもあります。この不滅の物語が翻訳も更新され再生され、再びその読み手となれたことを非常に嬉しく思います。

ひとつひとつの文章には熟成されるためのエッセンスの香りがたかく、丹念で繊細な数々のエピソードから構成される物語はゆっくりとした深い味わいをいつまでもたもつ美しい作品です。幼年時代への郷愁や、初恋のもどかしさに胸焦がれる思いなどの作品表層の甘くメロウな芳香だけではなく、語られる物語を背負うことの渋みと重みもしっかり組み込まれています。物語を語るということで再び生きなおされる時間があり、人間あるいは天使にとってすら、物語だけが自己を認識できる唯一のものなんだという世界が丁寧に構築されていきます。再生される物語により検証され続ける自己同一性と更新されていく世界像、それが失ったものを探していくことなのかもしれません。そういった深層に流れるテーマを、牧歌的で叙情的な美しいシーンとともに喚起させる本作はやはり不滅の耽溺系スタンダードだと思いました。