見直しました。
★★★★☆
私は正確な音程と運指、そして音楽性を重視するので、
激しくパッと見だけ凄いと思える演奏は敬遠してきました。
JanineJansenも私にとってその中の一人で、
JuliaFischer等の音程や運指がとても正確なアーティストと比べると、
やはり音程のずれもかなり目立ち、速いパッセージも「雰囲気」で弾いているような運指、
音楽性も乏しく、勢いと激しさだけで音楽を創っているように感じていました。
しかし、今回のこのCDを聞いて、
運指(一音一音を大切にするという意味で)や音程の正確さ、音の美しさは、
やはりいまいちですが、昔汚かった高音に関して美しさが増し、
オーケストラと一体になろう、という「音楽を創る」
(JuliaFischerの言葉を借りればMakeMusic)
事をしているのを感じ取れました。
もう十分本人の演奏スタイルは確立されているとは思いますが、
このまま音に磨きをかけ(雑音を取り)、
音程を正確に、速いパッセージの一音も音楽として考える事をすすめていけば、
この人にしかないものも勿論ありますし、とても良い演奏家になるのでは、と思いました。
ルックスで得している部分も多分にあると思いますが、
そう言わせない演奏が出来るようになる期待を込めて星4つとさせて頂きました。
叩きつけるような現代的な汚れた音が好きな方には、今の演奏も良いかもしれません。
ただ、【20091003修正】この人の演奏がハマる部分では、素晴らしいと思える部分もあります。
この人より名実共にある若手が他に何人いるか?と聞かれれば、数人しか思いつきません。
その位世界的にも素晴らしい演奏家だと思いますが、
それだけに、1音1音を大切にしない姿勢に、とてもガッカリ来てしまうのです。
昨今のソロバイオリニストは、ルックスだけで・・・という人が多いのも事実ですから。
【20091003追記】
タイトルの「見直しました」ですが、
昔は汚すぎてそれこそ叩きつける演奏が多い人だと思いましたが、
今回のCDには、そのような演奏の部分以外に、
とても音楽として完成されてると感じる部分もありました。
これからが楽しみな演奏家だと思います。