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ウンコな議論

価格: ¥1,365
カテゴリ: 単行本
ブランド: 筑摩書房
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知らない言葉の概念を解明しようとしている本 ★★★☆☆
私は、「ウンコな議論」という題名から、「例えば、詭弁と正論の区別がついていないような人たち同士の噛み合っていない、どうしようもない議論」というものについて書かれた本だと思っていたのだが、全く違った。

本書によると、「ウンコな議論」というのは英語のbullshitを訳したもので、直訳すれば「ウシの排泄物」らしい。そして、似た言葉は、「屁理屈」や「はったり」で、アメリカではこの「ウシの排泄物」がそのような意味として使われているらしい。

まず、言いたいのは、「ウンコな議論」と、「議論」と訳されているこの言葉は、「議論」を指すものではないということ。本来は、議論や質疑応答などの際に発せられる、ひどい「ふかし」や「ごまかし」、「はぐらかし」などを指すものであるようだ(実際には微妙にニュアンスが違うだろうが)。むしろ、「ウンコな理屈」などと訳した方が余計な誤解を生じないだろう。

そして、次に言いたいのは、本書は、このbullshitの概念を思索し明らかにしようとしているものであるが、あくまで、その言葉の意味や使い方を知っているアメリカ人向けに書かれた本であるということである。
それでも、事前にこの言葉についての説明が補足されていれば問題ないが、そんなものはなく、我々日本人は、bullshitの意味を「ウンコな議論」という訳から想像したものを前提にして読まなければならないのである。
議論に関する言葉だと思っていた私は、読み進める内に混乱し出し、「ウンコな議論」が議論を指すものではないことに気づくのにしばらくかかってしまった。

以上、使いもしなければ、知りもしない言葉の概念について説明された本書に、私は全く意義を見いだせなかった。

ちなみに、本書は、全107頁という短い内容で、しかも、57頁からは訳者解説である。
ウンコな表紙の図像学 ★★★★☆
黒、黄土、白の三色による構成は、かの有名な絵描き、ブリューゲルの作品(1)から引用された、いかれたキャラクターとの兼ね合いによって実現している。だが、なぜこのキャラなのか。ヤツは、口で巧みにスプーンを操り、おそらくはそれを漏斗さながらに活用してスープを飲むであろう。しかしヤツが、液体以外の食事をするのか定かではない。ヤツは、ウンコと関係あるのであろうか。その穴が、口でもあり、尻でもあるように見えること。この疑問は、ヤツの身体によって宙づりにされ続ける謎である。

それにもまして、その絵の周辺には、もっとも斬新なウンコ議論がひしめき合っている。
タイトルが一番大きい、なるほどである。次に大きいもの、山形浩生。なるほど。その次は、ハリー・G・フランクファート。ふむ、その次は、訳/解説。あたかも、フランクファートが訳者のようであるが、無論、訳者は山形大先生である。普通、著者と訳者は対等に扱われる。あるいは海外では、訳者が陰の人物となることが多い。ここに見られる反転は、ブリューゲルのキャラクターが反転されているという事実からも、ある意図を感じさせる。それは明白な主張であり、図像化された以上、無意識とは言い切れないのだ。

本文では、ウンコ議論の核心が、微妙な神妙さをもって語られる。
(以下、多少のネタばれがあるのでご注意ください。)
ー聞き手が知ってはならぬのは、その人物の意図が真実をつたえることでもなければそれを隠す事でもない、ということである。(p45)

この本は、表紙を含め、からだ全体でウンコ議論を体現している。
それは、ほかならぬ山形浩生大先生の手腕によって、自然とウンコ化したといえよう。
面白いうえに無駄な知識欲を満たしてくれる、素敵な本。ごちそうさま。

(1)Bruegel, 'Dulle Griet'(Mad Meg)
題名にごまかされるな ★★★★☆
原題は、On Bullshit。山形浩生が訳している。

 世にはびこるくそったれな議論について、哲学者が評論している。というより、大半は山形の訳者解説で占められているが。

 これはアメリカ社会をネタに書かれているものだが、むしろ現代の日本の状況の方が当てはまるのではないか。特に政治家の発言など、議論のかけらもない。でも国民は支持しているのだから大半の人にとってはウンコではないのだろう。
結局ウンコな議論ってすごく意味があるのでは? ★★★★☆
ウンコな議論が嘘よりましとかそうじゃないとか、一応まな板にはのっかっているのですが、私はやっぱすごく意味があるのではないかと思っています。
解説では、おそらくわざとウンコな議論満載の解説を長く載せてあり、読み終わって虚しくなりました。なぜならやっぱりウンコな議論の中をウンコな議論でもってやりきっていくしかない感じがしたからです。
ウンコな議論の効用をまともに書く方が今後、すぐに出てくれればいいのですが、おそらく出ないでしょう。残念です。
笑えるんだけど…、本当に面白いのはこの先。 ★★★☆☆
 小さな薄い本で文字も大きいのですぐ読める。ウンコな議論風に書かれた、ウンコな議論批判の書。30年前に書かれたこの論文を今読んでも面白いのは、様々な場面で繰り広げられている空虚なPolitically Correctな議論(例えば、「美しい国」云々)に対する批判になっているからではないだろうか。

 思ったとおり笑える本だったのだが、あともう一歩という印象。本書が扱っているのは「ウンコな議論の本質は何か」であって、「何故人はウンコな議論をするのか」ではない。だからここがスタート地点なのだと思う。本当に面白いのはここから先。

 訳者による(本文と同じくらいの長さの)解説も面白い(むしろ解説の方が面白い…)。このタイトルと訳者の名前を見てニヤリとできる方向け。訳者のおふざけモードが全開なので、真面目な人は怒っちゃうかもしれない。