「こういう教育がいいよ」とか、あるいは逆に「世の教育論は間違いだらけだ!」とか声高に主張したり、誰かを糾弾したりする本ではありません。
子供の数が減少するのと反比例して増えてくる様々な教育論について、その激しい潮流の中で立ち止まり、冷静に見つめなおす機会を与えてくれる本、ということになると思います。
早期教育論がまとう「科学的根拠」についても、「人間」という、あまりに複雑な生き物に全面的に適用してよいものか、恣意的な利用は無いか、それは本当に子供のためになる教育=能力開発なのか、真面目で丁寧な見方で検証していきます。
もちろん、「子供なんて自然に放っておけば勝手に大きくなる」と乱暴な結論を出しているわけではなく、自らが早期教育を受けた時の気持ちや経験も語りながら、「親が情報に左右されて与える教育が子供の信頼を獲得できるものだろうか」と述べ、親それぞれが考え抜いた結果としての教育を与えるように主張しています。
これは、教育産業や学校(あるいは塾など)の理論に子供を任せる、あるいは「早期の英才教育こそ子供の将来の幸せになる」という盲目的信念に従うより、ずっと大変なことなのかも知れませんが。。。