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徒然草 1 全訳注 (講談社学術文庫 428)

価格: ¥1,134
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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疑ひながらも念仏すれば、往生す ★★★★☆
『徒然草』第三十九段より法然上人の言葉

ある人、法然上人に、
「念仏の時、睡りにをかされて行を怠り侍る事。いかがしてこの障りを止め侍らん」
と申しければ、
「目の醒めたらんほど、念仏し給へ」
と答えられたりける、いと尊かりけり。また、
「往生は、一定と思へば一定、不定と思へば不定なり」
と言はれけり。これも尊し。また、
「疑ひながらも念仏すれば、往生す」
とも言はれけり。これもまた、尊し。

法然上人の教えを全面的に肯定する兼好の言葉です。

念仏を唱えるだけで往生できるという教えは、ずいぶんと都合のよいものだなあと思っていたけれど、解説の言葉を読んで自分の浅はかさを思い知らされました。

「無類の博学でありながら煩瑣な教理を排し、どんな無知な、意志薄弱の者にも可能なかたちで法を説いた法然に対する処遇として、その抑制ぶりは効果的である。」

三木紀人さん訳注の講談社学術文庫版『徒然草』は、語釈と解説が大変充実していますので、徒然草をじっくり味わうには最適だと思います。
人間の本質とは? ★★★★☆
 その著作と共に、以下の書き出しはあまりにも有名。

 つれづれなるままに、日くらし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。(序段)

 敢えて一言で言うならば、本書の内容は「人間論」であろう。人間というものについて、独自の視点から様々な事例を引用しつつ論を展開し、人間の心の本質を探ろうとしており、ひたすら自己を見つめ続ける鴨長明著「方丈記」とは一線を画している。

 具体的には、財宝・子供を持つことを否定し、さらには長寿をも否定、清貧と濁富を説き、真の心の友を持つことの難しさゆえに書物を通じて遠い時代の人を友とすることを訴える。また当時では常識?かもしれないが、男尊女卑の傾向が随所に見られ、生きていく上で必要なものとして衣食住以外に「医療」を上げている点などは、長寿の否定と矛盾しているようで興味深い。

 細かい内容上の矛盾は見られるものの、人間の理想として仏道に生きることを勧め、人生の「無常」を自覚することの重要性を説いている。

 最後に、「住まい」に関して言及している箇所を引用することによって締めたいと思う。

 家居のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮の宿りとは思へど、興あるものなれ。(第十段)

 家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑きころわろき住居は、堪へがたき事なり。(第五十五段)

 ちなみに、多数出版されている中でも講談社学術文庫から出ている三木紀人による「徒然草」全訳注は、4分冊でボリューム満点だが原文・現代語訳・語釈・解説と内容的に充実しているのでお薦め。
熟成度合いを調べるにあたって ★★★★☆
 徒然草は日本の古典の代表作である。世界で通用するという点で判断すると 群を抜いているかもしれない。小林秀雄が 本作をモンテーニュのエセーと比較した上で エセーより更に簡潔になっていると評価したのは 小林の日本贔屓だけではないと思う。

 そんな徒然草だけに 注釈もいくらでも出ている。徒然草の研究だけで 十分喰っていけそうな気がするのは小生だけではないかもしれない。

 そんな中で 本書は全四巻に分けて じっくり解説してくれる。その意味では 初めて徒然草を読むには 長いが 案外良い案内になるかもしれないというのが小生の感想である。

 しかし 結局 徒然草という本は 読者を試しているような趣があることは確かだ。徒然草の 入門書であろうと 専門書であろうと 結局は 徒然草に対峙する読者が何を思い 何を汲み取るかにかかっている。小生も偉そうに言いつつも 実は 殆ど感じ取れていないと思うしかない。

 エセーもそうだが 徒然草を読むには それなりの人生経験が必要だ。ゆっくり 自分の熟成を待つ。自分の「熟成具合」を調べるために 読んでみる。そんな 一冊かもしれない。まるでチーズやワインみたいである。