東洋一のサウンド・マシーン、待望のオリジナル・アルバム。今回もソウル/ファンク、レゲエ、ロカビリー、ブーガルーからゴスペルテイストまで、バラエティ豊かな楽曲はどれもコクたっぷりで最高にソウルフル。「考えるな、感じろ!」というメッセージと共に、これでもかと発信される熱く切ない21曲のソウル電波。まさに語るに及ばぬ男の美学、最新版のプレイボーイ養成講座!シングル/ドラマ主題歌「てんやわんやですよ」も収録。 (江畑謙)
こりゃクレイジーケンバンドはやみつきになりますね。類稀な横山氏の音楽才能爆発。
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軽やかにジャズが流れてくると、おおさすがCKBかっこいいなあと思うのですが、しかしこの作品は男の美学なんて語るもんじゃないと、謳い始めます。その名も「プレイボーイ革命」。“金かけりゃいいってもんじゃないじゃん、バランスが全てじゃん”“音楽の知識なんて語るなんて野暮ね、ィヤだね。それよりも感じろメロを、ソウル電波を”と言い切るのです。そうですねCKBは右脳で音楽の官能を味わってこそ、その優れた音楽幅の魅力を最大限に堪能できます。そうして刹那を楽しむことに全力を注ぐことで逆に男の真実が見えてきそうです。ただどう考えても女遊びをする趣味は金かけとるやろっと思わずツッコマせる点もさすがCKBですが!前半で特徴的な東南アジア風味で充満したメロディ、リゾート地を思わす快楽的な描写は、颯爽と遊びをこなす男性像を作り出してゆきます。特に愛人と主人公の濃密な「ヒルトップ・モーテル」のサビメロはエスニック歌謡曲で非常にインパクトがあり、もう私の脳裏にずっと鳴り続けています。この曲の衝撃に出会い今作への動機が沸きました。
それにしても真剣にユーモアを加味した歌詞はくすぐりますね。物凄くいい旋律で、通常なら泣き台詞を囁くサビメロなのに、挟まれた言葉は“柔軟材”(「タオル」)ですからね。そして最高なのは“ゴルフ焼けしたその素肌もォ〜”“お前プーナの娘かァ〜それは本当かァ〜”(「ヒルトップ・モーテル」)。歌は真面目なんです。なんですが、B級映画のようなそこはかとない面白さがあるんですよ。趣の中にじわりとユーモアを醸す絶妙はさすがだと思います。
作品はアジア風味だけじゃありません。ハードロック、「生きる。」でのJBのようなソウル、陽気なレゲェ、更に浪曲の節回しのような「路面電車」や三丁目の夕日のように明るく泣かせる「RESPECT!OTOSAN」もあり、それぞれしっかりした曲が多様に楽しめ、CKBの凄い一枚ですよ。
ロックのシーラカンス
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私30代後半のCKBファンです。このアルバムはCKB集大成ですね。近年のsoul,funkの要素とレゲエ、中華、演歌風、ロカビリー、4ビートロック、泣き笑い、ワビサビ、切なさ、渋谷系などてんこ盛りでてんやわんやです。長年の音楽ファンとしては、音楽のBack to the futureという感じで、中学生頃聞いていた音楽から、最新の音楽まで聞けますし、タイムカプセルを開けたかのような不思議な感じもあります。いずれにせよ、ケンさんの音楽の歴史というのは、音楽界そのものの歴史という感じがしますし、古いロックから新しいロックまで表現でき、音楽の歴史を若い人に伝えられるのはCKBだけでしょう。生き延びていること自体がすごいです。そういった意味では、このアルバムはあえて「ロックのシーラカンス」と言えます。
好きな曲は、Respect Otosanかな。25年位前の切ないメロディーラインに乗せた、父さんへの感謝の気持ち。タオルもいいです。プールサイドという言葉もどこか懐かしい感じがする。男の切なさってかっこいいよ、ケンさん。
アジア人のプライド
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アルバムが発売される前に敢行された「ソウル電波2K7」のライヴツアーにて、「日本のミュージック・シーンは欧米追随の傾向がありますけど、オレたちは、もっとアジア人であること自体を楽しもうじゃないですか!」とステージから呼びかけていた剣さん。
その主張どおり、今回のアルバムは、おもに東南アジアの妖気を放つ「夏期限定」仕様ッつー印象でス。
相変わらず他のアーティストじゃ発想し得ない独創性にはギャフンでして、特に、男女間の恋模様に限定されない壮大なスケールで飛び散る情念汁の洗礼には人生観さえ変わるかも…ですよ!
ちなみに「考えるな、感じろ!」は、映画『燃えよドラゴン』の劇中セリフだそうで。
剣さんは、ホンマ天才だニャー。
未だ追随者のいない無敵のサウンドマシーン
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このアルバムは,今年で10周年を迎えるクレイジーケンバンドの節目のリリースということもあるのか,これまでの集大成的なサウンドとなっている。お洒落で,粋で,猥雑で,ソウルフルで,ファンキーな,横山剣並びにクレイジーケンバンドのセンスと美学がてんこ盛りのこれぞクレイジー「イーネッ!」サウンドが展開されている。この10年間ほとんど毎年のようにオリジナルフルアルバムをリリースしているにもかかわらず,今回も20曲を超える曲数があり,毎回ながらこのバンドの才能とサービス精神とバイタリティーには脱帽の思いである。
クレイジーケンバンドのアルバムは,アルバム全体を通してのトータルな魅力(アイキャッチを含むバラエティな音楽性とメンバーの個性など)を楽しむのが本筋だと思っているが,今アルバムで最高峰と思われる曲が8曲目の「路面電車」である。もうこれがサイコーにイカシているのである。お得意のアバンギャルドかつノスタルジーなサウンドプロダクションにリリシズム溢れる歌詞が乗っかって,得も言われるぬ極上のクレイジーサウンドとなっている。サビを「ガタンゴトン,ガタンゴトン」(サビが擬音の曲なんて,なかなか無いと思う)と独特の剣サン節で歌われたら,盛り上がることこの上ない。
東洋一のサウンドマシーンは未だ追随者のいない無敵の存在である。
今回もサイコー。
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今回もいいアルバム作りましたね。CKBの場合アルバムの一曲目からストーリーが始まり最後の曲でストーリーの幕が閉じられるっていう構成ですよね。勿論、その中にはキャッチーな曲もあればディープな世界観を表したもの、ノスタルッジック昭和エッセンスを取り入れたCKBの世界、エトセトラ、エトセトラ。。ほんとにいつもCKBのアルバムは箱いっぱいに詰め込んだおもちゃ箱みたいな期待感を持たされます。今回のアルバムからファンになった人は一つづつ前のアルバムも聞いてみてもいいでしょう。序々にディープな世界にはまって行くでしょう。奥の深いCKBの作品。僕は未だ前作「ギャラクシー」を気にって1年経った今も良く聞いています。ファーストアルバムの「パンチパンチパンチ」も良く聞きます。時が流れても色あせないそれがCKBです。まだの人は、是非ココからスタートしましょ