第2幕終了
★★★★★
本書で予想されたのは徳川家基の死。しかしながらそれだけではない過酷な結末が訪れる。しかしこれで坂崎から佐々木に成長した磐音に一区切りが着いた。これからは更に脂が乗りきって、次のステップに飛躍していくだろう舞台が出来た。
著者がいうように、この先どうなっていくのかわからない・・・。けれど私は新しい磐音の清々しい生き様を体感したい。
正に激変!
★★★★★
徳川家基が鷹狩りの帰りに死んだことは紛れもない事実であるので、いつかこの小説でもそういうことになると思ってはいたが、この巻で家基が暗殺されるとは予想外だった。
又佐々木玲園と妻おえいの自害は正にこれまでのシリーズの中で、最大のショックだった。
霊園の養子になった磐音とおこんの子供をいつか玲園夫婦に抱かせてやりたいと思っていたが、その霊園が自害した時におこんが懐妊するのも、小説の上とは言え正に劇的である。
幕府の取り潰し策によって潰された尚武館道場と尚武館建て直しの時に出てきた剣の因縁が今後どのように絡んでいくのか興味があるところである。
佐伯康英氏の作品は、この居眠り磐音江戸双紙シリーズと狩りシリーズそれに吉原裏同心シリーズを読んでいるが、いずれの作品も血湧き肉踊ると言った感じで、早く次の巻が観光されるのを首を長くして待っている状況である。
物語の終盤へ向ける巻なのか
★★★★★
磐音が巻き込まれる戦いとともに、
周りの人々の温かさや
道場の門弟たちの和やかさが彩ってきた今までの物語とは変わり、
怒涛の上下31巻です。
田沼意次が大きく動き始め、
磐音と玲園が家基を守ろうとしますが・・・。
また玲園は佐々木家のあらゆることを磐音にゆだねていきます。
その玲園が秘めた想いが、下巻の終盤に明らかになります。
大切な者との別れ。
辛い状況に食いしばる磐音。
衝撃的です。
しかし、新しい光も生まれるようで。
この江戸双紙シリーズの大きな辻となっています。
手のひらを返したような諦めモードが気に入らない
★★★☆☆
史実から家基がどうなるのかは初めから明確でしたが、これまで何が何でも守り抜くという意気込みと
実際に超人ヒーロー的鉄壁のガードを繰り返してきたのに、今まで敵を良く知らなかったって何をいまさらって感じです。
せっかく上下巻でじっくりとヤマ場を楽しませてくれるかと思っていましたが、
特別な理由もなく急にみんなで諦めモードっていうのは流れ的にちょっとお粗末でがっかりです。
今までとのギャップが自然じゃなく、無理やりそこに持って行ったのがありありとわかる感じです。
とは言え、先がどうなるのか、新しい展開に期待を込めて待ちたいと思います。
磐音シリーズに新しい扉が開かれた巻
★★★★☆
シリーズの32巻にして、物語の方向性が大きく変わることを感じさせる巻です。
この本が発売される直前、NHKで作者である佐伯泰英さんがインタビューに答えていました。
「これまでとは全く異なる内容なので、読者の皆さんから拒否され、これでシリーズが終わりになるかも・・・」
なんてことを仰っていたのですが、正直、上巻を読み終わった状況では、それほど大きなシリーズの異変は感じませんでした。
しかし、下巻では・・・確かにこれまでのこのシリーズのトーンとは全く異なる展開を予感させます。
この巻自体は、そう大きく変わった・・・というわけではありませんが、ここまで話が進んでしまうと、この先はどうなる???と頭に「?」がたくさん浮かびました。
磐音シリーズがスタートした時、「嫌なことがある世の中だから、絵空事といわれても、爽快な物語を書きたかった」と佐伯さんが仰っていましたが、この巻を読むと、その方向性が変わるのでは・・・と思わせる・・・
もしかすると、この次の巻、33巻から、磐音シリーズは全く違う物語になっていくのではないか・・・
そんなことを感じさせる、シリーズの新しい扉を開いた巻でした。