耳を澄まして音を聴き入る経験
★★★★★
フェルドマンの作品は、ポップさとは無縁のミニマリズムの一方の極地のような音楽で、日本では近藤譲などに影響を与えたことで知られている。特に80年代以降は、その長大でずーっと続く静謐な作品で知られている。
けれど、作品ごとにどういう違いがあるのかあまりよく分からなかったりして、あまり繰り返して聴きたいと思う作品はそれほど多くなかったりします。実際、あまりにも特徴的過ぎて、どれを聴いても同じような感じなのです。
そのなかで本作は、ピアノの心地よい音の連続のなかに、生まれていく変化がとても美しく、彼の作品の特徴が非常に成功した例であり、また、もっとも聞きやすい作品の一つだと思います。フェルドマンの作品を録音でひとつ聴くならば、このCDはおすすめです。