長いトンネルを抜けたのに雪国ではなかった時のガッカリ感
★★☆☆☆
広げた風呂敷が大きすぎたのか、はたまた、
大きい大きいと思わせていた荷物が実はすごく小さかったのか、
この消化不良気味な読後感は、馳 星周氏の『弥勒世(みるくゆー)』を彷彿とさせます。
いや、本書も弥勒世も確かに面白いんですよ。
面白いんだけど、ここまで引っ張っぱるなら(上下巻で約1,000ページ)、
もっと面白くしてよ、という感じです。そこが、『Cの福音』『朝倉シリーズ』『再生巨流』『ラストワンマイル』と異なる点です。
要は、全体(構成)のバランスが悪いんです。
これは、週刊誌(サンデー毎日)の連載小説をまとめたことが原因なのではないか、と推測します。
取材(資料?)もしっかりしていて、パーツごとで見るとイケメンなのに、
全身で見るとアレッ、という感じなので、星二つです。
コストパフォーマンス悪し
★★★☆☆
とある同族経営の会社で働き、外様ながらエリートコースに乗っていた主人公が、ふとしたことで血族の一人である同期の不興を買い、困難なポストを次々と回され、辞職へ追い込まれるというストーリー。何か高杉良チックな話の展開である。何となく展開が予想できるため、ハラハラ感がなく、ダラダラと話が続く感じ。しかも、主人公がシカゴ大のMBAホルダーという設定なのだが、どうもMBAという学位が小説の中で過大に評価されおり、主人公の具体的な能力や特性の描写がないまま、それを武器に華麗に立ち回っている点が胡散臭く、残念ながら小説の中身を薄っぺらくしてしまっている。文庫ならまだ我慢できるが、ハードカバー2冊だとコストパフォーマンスが悪いと感じてしまった。良作も多い楡周平の中ではハズレの部類の作品だと思う。
経済満載、過ぎ!?
★★★☆☆
グローバル化の波に乗り遅れた電気メーカーの工場閉鎖、リストラに伴う従業員の悲哀。会社を守ろうとする創業者一族と銀行・外資系ファンドとの戦い。
そして、再生へのドラマ。
と、こう書くとなかなかスピード感があって、ヒューマンで、汗かきながら頑張ってる様子に見えます、が・・・
あまりに幅が広くて、すべての部分でピンぼけ。
会社ってこんな感じなんだ、今の世の中の仕組みはそうなんだ、と経済小説入門編としてはいいかも。
ページは多いけど、こだわってない分?サクッと読めます。
800頁とっても重いよ 読んでヘトヘトになった。
★★★★★
この3年 春に現れる楡さんを待っていた。
現在進行形とも読めるストーリーに実名の会社が思い浮かんでいた。
松下、三洋、NECエレク・・・etc それぞれ会社再興のスキームは違うと指摘されるだろうが あまりにも現実的だった。
大企業病、退職への追い込み方、自分が背にする家族、会社再興 どれも皆々が感じ取っている現実だ。
しかし 米・日・中 渡り歩いた現実は実は一本の運命として続いているんだと考えさせるあたりにこの小説の救いがあり 面白さある。
今までとは違う楡ワールド。 ”現実” 堪能 致しました。