毒性の機序と毒性の専門書
★★★★☆
全生物および地球環境を含めた全ての生態系に対する物質の毒性について考えさせられる専門書であり、6版ということでますます内容が充実している。今回の版では、特に、毒性の作用機序について追加された様である。これは、分子生物学を含めた他の生物系の技術の進歩が目覚しく、毒性分野にもその技術が応用されていることを反映している。細胞レベル、遺伝子レベル、細胞内シグナル伝達系では進歩が著しい、これらの毒性機序解明に係る事実を掲載することは多岐に渡る情報収集と分析が必要である。これらの機序を掲載するには、日常の積み重ねが必要であるが、著者らはこれを実行している。これは重要なことであり、毒性からの回避および治療法の開発にも有意義である。環境汚染は全世界に広がるであろうし、環境科学の専門家にも一読をお勧めしたい。一般人には理解しくにいが、毒性の専門家にとっては基礎と応用を含めた良書である。さらに、毒性は、物質が相互に作用する際、生じたエネルギーの摩擦であり、エネルギーが存在する以上、毒性は避けられない。益々エネルギーが充満するであろう世界に、本書の活躍の場は広がるであろう。