愚作!
★☆☆☆☆
この人の作品全てに共通しているのだが、まず小説という形式において、就中に重要となるカタルシスが全くもってない。これは、作家として余りに拙い。文学的作品などと云われる以前の問題に思われる。それに、しかも、彼女の小説における文体をも、相当に粗雑で、見るに堪えぬ程度の稚拙さで、読んでいることがだんだんと馬鹿馬鹿しくなってくる。いやはや、助詞の使い方にさへも、間違いがあり、最早、ある意味では、その幼稚的文章に感心してしまう程だ。ときに、妙に技巧的で、捻ったように思われる比喩、それもぎこちなく洗練されていない比喩に出くわすと、その下手さに呆れて、あいた口が塞がらぬ思いに見舞われる。詩的だと云う者もいるが、それは多分、彼女の独特の音楽的なリズムで書かれた、不細工な文体を、読み下すことが出来ない。(それは助詞さへ間違ってるから当然なのだが)だから、詩的詩的と読み手の恣意的な判断で喚いているのだろう。だが、詩的であろうがなかろうが、比喩や曲解というものが、その作家の臂力でなくてはならないのだが、彼女の場合は、劣りに劣っているので、読者の精神を揺さぶる魅力は一切合切ないのだ。これから、彼女の小説こそが、文学衰退の象徴的作品になろうことが、予見される。
モノローグのような不思議な作品。評価不能・・・
★★★☆☆
本の概要を誰かに紹介する時、どう表現すればいいのか悩む本がありますが、本作はその代表格だと思います。そうね〜まあ読んでみて、としか言えない本のように思いました。
強いて言えば、臆病でちょっと精神的に参っている感じの繊細な女の子の独り言のような文章と言ったら的外れでしょうか?(作者の川上氏が精神的にまいっているという意味ではありません。念のため)。
本書は、本能的・情動的な要素と精神的・哲学的な要素がごちゃまぜになっていて、両者の間を行ったりきたりしている印象を受けました。読み手によっては、「わけわからんわ」と感じる人が多いのではと思います。正直、私にも理解できませんでした。
また、子供のころ持っていた純粋な感性がさりげなく現れたりして、芸術作品の香りも漂ってきます。そうなると、ますます「わけわからん」の状態になります。
分かる人にとっては分かる作品(つまり読み手を選ぶ作品)なんだろうなと思いました。初めて読んだとき、ヘンリー・ミラーの『北回帰線』に似ているなと感じました。
中原中也賞受賞作
★★★☆☆
川上未映子は、大阪出身のミュージシャンであるいう共通点と、
観念的な文体から、町田康と比較されますが、
同じ大阪弁で書かれていても、
出生地の堺と京橋の言葉のイントネーションの違いや、
片やパンクロック、片やバラードの音楽性にも表れているように、
彼女の文章には、町田康の外に向う暴力性に比べて、
女性特有の子宮で世界を捉えている内向的な隠微さがあり、
メランコリックな生理を伴う感情のゆらぎを、
覗き見している危うさがあります。
中原中也賞を受賞した詩集だと聞いて読んだのですが、
詩とも散文ともつかない言葉のコラージュと言った趣のある
言葉遊びのような作品で、意味を探ろうとして読み進んでいくと、
とことん裏切られていきます。
『乳と卵』で芥川賞を受賞する前の『ユリイカ』に寄稿した
初期の4篇と新たに書き下ろされた3篇で構成されていますが、
読者を意識して書かれた余所行きの書下ろし作よりも、
何の制約もなく思うがままに書かれた初期の荒削りな作品の方が、
彼女の心のあせりが素直に書かれていて、私は好きです。(65点)
文章についていけない
★★★☆☆
途中で読むのを挫折した。 文章がねぇ・・普通の日本語がしみついている私にはついていけなかった。
詩的感性にあふれたポップな文章だと思いますよ。しいていえば、町田康の少女版ですか?
著者はけっこうな年齢ですけどね。 町田康は好きなんだけど・・・・芥川賞選考の先生方は
こういう小説に弱いですよね。 老年でこの手の感性に満ちた文章書けないもんなぁ。
芥川賞とりたいと思っている作家志望の人には参考になると思います。
私には「この本読めんわ読みづらいわもうええわ」でした。
誰も真似できない途方もない表現力の豊潤さ!
★★★★☆
川上未映子が、この2年間に文学少女インテリ雑誌「ユリイカ」に発表してきた短編を中心に纏めた作品集。まず、表題を始め、各編のタイトル名にそそられる(笑)。芥川賞受賞作の「乳と卵」でも、その独特でユニークな言い回しが刺激的であったが、その崩芽は今作でも存分に窺う事が出来る。さらさらと書き綴られているかのような文体の中での、まるで連想ゲームの如きめまぐるしく放たれる言葉の連鎖、最初こそ読み難いものの読み続けるうちに次第にクセになっていく既存の文法に捉われない自由奔放でリズミカルなセンテンス、そして、女性特有の感情の機微、身体器についてなまめかしくも繊細かつ切実と語られる表現力の斬新さ。正直、男性読者としては、あまりに濃厚で生理的な感覚に蹂躙され、息苦しくなる箇所もあるのだが、その感受性の途方もない豊かさは、やはり凄い作家だと思う。