収録されたもう一編は意味不明
★★★☆☆
本書は川上未映子氏による芥川賞受賞作。
女と姉とその娘の、たった三日間のできごとを描いた作品。
主人公の女が住む東京に、40手前の姉・巻子と、その娘・緑子がやってくる。
豊胸手術を切望する巻子。
頑に言葉を発しようとしない緑子。
かつて一緒に住んでいたこともあったからか、それを自然と受け入れる女。
そんな三人の取り合わせという奇妙な設定の中、物語は進行する。
合間合間に挟まれた緑子の日記というか独白が、なんというか、切実だった。
ポジティブな友達とのやりとりを、自らのネガティブな思いに重ねて書かれてあり、
そのなんともいえない青臭さと切実さは痛々しかった。
まるで鬱屈した思いがどんどん溜め込まれ、破裂する時を待っているかのようだった。
そこまでコテコテではないので、関西弁の文章には違和感はなかった。
テーマがテーマだけに、男性である私は、本作を読むにあたって少し損をしているのかな、と思えばいいのだろうか。
そして本書に収録されたもう一編は、私には、意味不明。
帯をみて、、、
★★☆☆☆
帯に「一夜にして現代日本文学の風景をかえってしまった」と、いかにも読者に訴える言葉。
読んでみてつまんない小説でした。生理と豊胸手術、、途中で東京に行ったのは、実は豊胸ではなく、甚大な病気を隠す為に前の旦那に子供を託す為に東京に行ったのかな?と思ったんですけど、それも違うし、、オイラには分からない小説でした。ガッカリでした。
人体は最後の自然である
★★★★★
いつだったか、吉本隆明が現代日本の詩人たちについて、「彼らはもう書くべきことがない」という意味のコメントをし、その理由として「日本から自然が失われたから」と語っていた。残念ながら同感である。
そのような時代にあって、川上さんは貴重である。彼女にあっては自然が失われていないから。自然とは美しい山や川を指すのではない。いや、そのような認識ではもう我々は生きていけない。究極の自然は自身の肉体である。川上さんはそのことをよくわかっている。自然が感じられる限りは、つくりものではない感情もそこに宿る。
この芥川賞作品は、コンクリートの中で、生きものとして、ひからびてしまわないセンスを湛えている。
みえこ萌え
★★★★☆
見ると評価はあまり高くないん、まあ楽しむ小説やないし、読みづらい文体やけど、でもまあ芥川賞ってびびってたよりかは読めましたのです。
個人的には最初の、本のタイトルになってるほうのが好きというか、二つ目のほうはようわからんかった、だってテレビついてますん、集中できへんもん、あれやでお宝鑑定団、父親が好きなんよ。
男だからかたぶんそやけどやっぱり、女は理解出来ん。たぶん、全部たぶんの話やけど、女のほうが複雑なんやろないろんなことが、男はシコシコしとれば気はれるもんや。
母、娘、女
★★★★☆
女であることを、こんなふうに、きちんとえぐりきって表現できる作家はとても少ないと思う。だって女は隠す生き物なのだから。救われるような感じといってもいいほど、書かれていることに共感できる。ただ、私には大阪弁であることが、はぐらかしのように思えたので、星ひとつマイナス。