一生楽しめます
★★★★★
すでに多くのレビューがあるので、屋上屋を重ねるようなことは避けたいと思います。
先年映画が公開されましたが、映画とは別物と考えるべきです。映画もそれなりに面白いですが、原作の方が10倍は楽しめます。本は同じ箇所を何回読んでも、1行に何分かけてもいいし、気になるところに立ち戻って確認するのも自由です。この本には、いつまでも同じところを味わっていたくなる箇所がたくさんあり、読み込むほどに味わいは深くなります。
一般に、壮大な物語では細部まで行き届かないことが多くなりますが、この物語には当てはまりません。景色、食事(英国人は食事に興味がないという説は信じられません)、人の心、そして数々の歌。ガンダルフとサルーマン、アラゴルンとエオメル、ガンダルフとデネソールの論戦は、言葉いくさの厳しさと同時に、ディベートとしても深い味わいを感じさせます。
これらはトールキンがプロの作家でなかったからできたことです。能率や締切を度外視して、ひとつの作品に数十年をかけた結果です。毎年1回ずつ通読していますが、いまだ飽きません。この調子なら一生楽しめそうです。
五つ星評価しか有りえない。歴史的な大傑作。品格溢れる至宝。
★★★★★
J.R.R.トールキン作、英国の宝と言える傑作。古典中の古典であり、ほぼ全てのファンタジーに影響を与えた不朽の名作です。英国では、トールキアンと呼ばれる熱狂的なファンが存在し、余りに偉大過ぎるため、映画化が非常に難航、また、「映画に出演させて欲しい!」との俳優からのオファーが殺到しました。教養として必須。
作者であるトールキンはオックスフォード大学の言語学の教授であったため、言語を中心とした舞台設定は緻密の一言。そのため、「ホビット」・「シルマリル」等の同じ世界の中の前史も書かれています。
物語は、平和を愛する小人(ホビット)の一族のフロドが、敬愛する先達ビルボの因縁に巻き込まれ、長い旅に出る...というものです。その旅には、美しく長命のエルフ・短躯で髭面のドワーフ・謎めいた魔法使い・樹木の妖精エント・醜い怪物・闇のバルログ等、正に、ファンタジーの王道(と言うか、他の作品がこの作品の真似をした)のオールスターキャストが生き生きとして、待ち構えています。
しかし、実際に読むと、舞台の完成度が高過ぎるために設定の説明等に時間がかかり、正直、辛抱が必要です。ですから、映画を先に見た方がいいかもしれません。ただ、ラストのフロドの心理は、ずっと丁寧に描かれた小説をお奨め致します。
同じファンタジーでも、「ハリー・ポッター」等とは、温度差がありますので、要注意。
映画と相互に楽しめる稀有な作品
★★★★★
映画を観て興味を持ち翻訳本を読み始めるも、あまりにも硬い訳文のため1冊の途中で断念しました(出版社には是非時代にあった新訳を期待します)。
それならばと原書に手を出してみると、その文章の素晴らしさに参りました。
ときに流麗で、ときに荘厳で、ときに平易に語りかけるその技法は絶妙の一言。
ある程度の語学力があれば、無理して翻訳した物を読むよりも読みやすいかもしれません。
(尤も、それ程難しい語彙もありませんよ。)
The Fellowship of the RingはLord of the Ringsの第一巻にあたり、やや導入部分の説明が回りくどい感があるものの、それによりこの壮大な世界がより具体的印象を持って我々の前に広がるという役回りを考えると非常に重要なパートです。
映画が比較的よくまとまっているので、世界観や起承転結を覆すような大きな違いは無いようにも思えますが、この原作を読むことで、映画の世界がより壮大に拡がり、繊細かつ緻密なタッチで色づけされていきます。
また、再度映画に眼を移すと、原作により拡がった世界の中で具体的に活動するキャラクターが現れ、さらなる具体性をもって作品を楽しむことができました。
原作と映画とを比較すると、その違いからどちらかを切り捨てたくなる作品が多い中、相互に色づけし合う稀な作品ではないでしょうか。
是非、原書で読みましょう。
The Fellowship of the Ring (Lord of the Rings) とすべき本
★★★☆☆
タイトルが、「The Lord of the Rings (The Lord of the Rings)」となっていますが、間違っています。
本の画像をみれば分かるとおり、三部作の内の最初の1つ「The Fellowship of the Ring」のみ含まれるため、「The Fellowship of the Ring (Lord of the Rings) 」とすべきです。
映画とは違う楽しみも
★★★☆☆
ロードオブザリングを見てから、旅の仲間を読みました。映画は原作と違う設定かな?と思いきや、実は映画で語られていなかった登場人物の背景がこまかく描写されています。本書を読み終わってからまた映画を見るとかなり楽しくなります。淡々と長く背景描写に時間を費やし、物語に入っていくというのはヨーロッパの文学によく見られる傾向ですね。時間があるならじっくり味わうのも良いでしょう。