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第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

価格: ¥693
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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どうなるの……で三部作を読み切ってしまった! ★★★★☆
『悪童日記』に始まる三部作。次々と読手を裏切る展開。最初から、三部の構成をとって書かれたのでは無いことに驚いた。作者の体験が深部にあってそれが核となって生まれた小説。久しぶりに一気読みして、再読ありの小説だった。主人公は双子なのか、一人だったのかの疑問が、『第三の嘘』で解決するはずなのだが……。ただ、『第三の嘘』で描かれる事実が現実だったとしたら、ちょっとありきたりな設定になってしまった感もした。でもやっぱりすごいと思う。
すごい ★★★★★
『悪童日記』でその圧倒的な物語に驚嘆し、『ふたりの証拠』でその驚嘆した物語の基盤を崩されたような不安を覚え、
『第三の嘘』でこの天才的作家の物語をつくる力にやはり驚嘆した。
読み終わった後、果たしてこの構想は最初から考えられていたのだろうかと思ったが、解説にちゃんと書いてあった。
後から考えたように思えたとか、矛盾が生じていたとか、そういう理由ではなく、
もし最初から考えていたとしたらすごいというか信じられないというか、
もちろん後から考えたにしろすごいことはすごいのだが。

もしこの3つめの嘘が本当ならば(双子だったにしろ、一人だったにしろ)、とても悲しい物語だと思った。
もし嘘ならば、本当はどんなにもっと悲しい人生が奥に潜んでいるのだろうかと、もっと悲しくなった。
謎が深まる完結篇 ★★★★★
 アゴタ・クリストフの「悪童日記」「ふたりの証拠」に次ぐクラウス=リュカ三部作の完結篇ということになっているが、3作品はまったく関連のない3つの物語りと受け止めるほうが納得がいく。本書のタイトルそのままに3つの作品にわたって3つの「嘘」が書かれているのだ。

 ペテール・Nとクララはこの第三作でも登場してくるが、なんと夫婦として出てくる。第二作で思春期のリュカの相談役だったクララは、本書では一言もしゃべる機会がない。もっとも、この第三作目は、クラウスのことが書かれている(ようだ)。そのクラウスにしても"CLAUS"と"KLAUS"の二人(?)がいるようだ。
「悪童日記」の最後で爆死した「ぼくら」の「父親」は、本書では、浮気を許せない母にピストルで殺されてしまった。
この父親の名前がクラウス=リュカ・Tであり、同名の詩人まで出てくるありさま。
第二作「二人の証拠」の最後に添付されている「調書」にしても、第三作を読み終わった段階では不思議な存在感がある。

 三作品間に密接な関連がないとしても、やはり刊行順に読んだほうが、物語としての想像力・推理力を書きたてられることには違いがない。実に不思議で読者としては大いに悩まされる三部作ではあるが、読み手を飽きさせない魅力に溢れた小説である。

 「解説」にあるように、分断された二つの国家、すなわち東西ドイツが統合するきっかけとなったベルリンの壁が崩壊したのが1989年であった事も本作の契機となったはずである。東欧にもようやく本物の「自由」がやってきたのだ。
読み辛い ★★☆☆☆
2作目までは読みやすく、わくわくしながら読み進めていましたが
3作目はとても読みづらく、話の結末もこんなもんかって感じでした。
かなり期待していたのにちょっとがっかりです。
迷宮へ迷い込みたい時にどうぞ ★★★★★
 すべてのレビュアーが語られているように、この前に2作あるので、そちらから。間違いなく理不尽な迷路に迷い込める。歴史的な背景を知っていれば、なお楽しめると思う。内容は語っても意味がないのでやめておくが、これほどのものが母国語でない言語で書かれたというのは驚きだ。まあ結局、私は日本語で読んでいるわけで、これも意味のない感想かもしれないが、英語で小説を書けと言われても無理な人間からしてみれば、驚異だ。