重い本です…
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「アドラーを読む」に続いて本書を読みました。
前書より重い・・・。
前書にも「アドラー心理学は知っているだけでは無意味で実践してナンボ」云々ということが書かれていましたが、本書では著者である岸見氏がご自身の病(心筋梗塞)を通してアドラー心理学を深められているんです。病という人生の避けて通れない課題にどう取り組み、自分をどう勇気づけたか、という背景が本書に重量感を与えているようです。
また、この本を読んでいる最中に、私自身が人生の課題を回避してきたことに気づかされ、その事実を目の前に突き付けられた感じがしました。「ああ、逃げてきたんだ…」と。おまけに、第四章「死」には、「死もその他の人生の課題と同じであり、それ(死)に臨む態度も他の課題に対するそれと変わりがない」みたいなことが書かれてあって、「私は、死を目前にしたときに逃げられるわけでもないのに逃げようとしてもがき苦しむのだろうか…」と考えてしまいました。だから、厚さ2cmに満たない本(190ページ)なのですが、ずっしりと重い感じがしたんです。
しかし、本書はいたずらに重い本ではありません。アドラー心理学が勇気づけの心理学であるように、本書もまた勇気づけを目的としたものです。本書は「人は自分に価値があると感じるときに勇気を持って人生の課題に逃げることなく取り組むことができる」という思想に貫かれています。では、自分に価値があると感じるためには…。
それについては本書をお読みくださいませ。
岸見先生の2つの潮流!!
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岸見先生の本には2つの流れがある。
『アドラーの本の翻訳』と『アドラー心理学に基づいた自分の考え方』の2つに分類される。
今回読んだ「アドラーに学ぶ」は、『アドラー心理学に基づいた自分の考え方』の流れであろう。
僕にとっては一番読みやすくまた読んで胸に響く種類の本だ。
「アドラー心理学入門」「不幸の心理 幸福の哲学」「アドラーを読む」と読み進むとどんどんその考え方の深みに入っていくようだ。
先生の体験が、特に入院し手術し”死の淵を彷徨われた”その体験が深みをもたらしているように思えてならない。
一時同じところを何度もなどられているようなそんな感じを先生のご本を読みながら感じていたが、今回の「アドラーに学ぶ」で一段高みに上がられたような感じを感じます。
もう一度「アドラーを読む」「アドラーに学ぶ」を読めば、読みづらく一読しそのままにしている岸見先生の『アドラーの本の翻訳』のご本も読み進めるのかなと思っております。
次作を楽しみにしております。