知り合いのキリスト教の牧師さんに（素晴らしい本だと）紹介され購入した本で、
私が読む限りでは、本書は、伝統的なキリスト教の教え（神学）のすべてを網羅した本ではありませんが、
明確なメッセージを持った素晴らしい内容です。

　現在は人は皆、未完成ではあるけれども、神に創られた神の作品という肯定的なセルフ・イメージを土台にして、
夢を思い描くこと、希望を持つこと、決して諦めないこと、言葉（思考）や言い表すこと（宣言）の大切さ、
過去にとらわれない（自分を赦す）こと、今を生きること、神の時を待つこと、試練（変えられない状況）は人を成長させるなど、
日常生活で心が健全になり、元気を得られるような内容に焦点を合わせて、
感動の例話を使いながら、わかりやすく強力に説きます。押しつけや説教くささはありません。

　念のために付け加えると、自分の欲望のままに何をしてもいいという利己的な
勧めは書いてありませんし、必ずしも自分の思うように望みがかなうことばかりだとも書いてありません。
（このあたりは、健全なバランス感覚が感じられます）
　また、人に与えること、赦すこと、人を助け、愛することを試みるようにと、
聖書の言葉や、聖書の中のエピソードを交えて、強く勧めます。

　日本の教会の一部には、無力で罪深い存在という人間観
が強調されるあまり、そのような「罪人」はそのままでは神に
受け入れられない（希望がない、無価値な存在）と信じさせる傾向があるようです。
　その結果、「〜すべきだ、〜すべきでない、頑張って〜しましょう」という律法的な雰囲気になりがちです。
　聖書は膨大な書物で、一見、矛盾した教えも多々あり、素人が、もし予備知識なしで一読しても、読み切れませんし、
日常生活にどう取り入れたらいいのか考え始めると（どっちつかずで）混乱してしまいます。

　結果、聖書に詳しい人の解釈に依存するわけですが、
聖書の解き明かしも、指導者の性格、人格、
受けた神学教育（教養）に影響される部分が大きいようです。

　その点、本書の著者、ジョエル・オスティーンは、キリスト教信仰の明るい面を理念と
して明白に打ち出す牧師さんですので、信仰にあまり興味のない人にも、
特に、元気を得たい人、自分の潜在的能力を発揮したい人などにおすすめできます。

　ともあれ、本書の内容を目次からご紹介させていただきます。
１　視野を広げる
２　健全な自己イメージを育む
３　思考と言葉に潜むパワーに気づく
４　過去を捨て去る
５　逆境の時こそ強くあれ
６　与えるために生きる
７　幸せを選び取る
（これらが聖書の基づいた教えであることは比較的容易に了解できます）

　最初は、明るすぎてまぶしいというか、自分の心には異物というか、
馴染みにくさを多少感じますが、持ち歩いたりして、読んだりしていると、徐々に、
著者の熱意や希望（信念）が自分に感染してくるのか、心が解放され、自分なりの
前向きなアイディアが浮かびやすくなるようです。
　
　類書としては、松島修さんの「聖書に隠された成功法則」サンマーク出版
を思い出します。日本の牧師さんの書かれた雰囲気の似た本としては、
田中信生さんの「すてきな自分に出会える法則 」PHP　他も読みやすいと思います。

　エピソードや例話が多く、それだけ読んでも元気が出ますが、もしよろしければ、
詳しくは本書を手にとりお楽しみいただければ幸いです。
　聖書の教えを人生に持ち込みたいと願う人や（必ずしも書いてある内容を最初から全部信じる必要はありません）、また、
苦しみや試練を乗り切るエネルギーを得たい人、
ご興味のあられる方々におすすめさせていただきます。

本書を読んでもっとも印象に残ったのは、発想の切り替えです。

多くの人がそうであるように、苦しいことやつらいことがあると、他人のせいや環境のせいや、あるいは運命のせいにしてしまいます。

「状況がよくなれば、自分も頑張れるのに…」と思いがちです。

しかし本書は「頑張ることで、状況が良くなるんだ」と大きな発想転換を求めています。

また、自分にひどいことをした相手への怒りや憎しみの気持ちについても、

「相手を憎んでも、心がすさんで不幸になるのはむしろ自分自身」

「自分の幸せのためにこそ相手をゆるし、怒りと憎しみの気持ちを捨て去ろう」

と言っています。

自分の不幸せをのろったり、沈んだ気持ちになりそうなとき、本書は深い気づきを与えてくれる一冊と思います。

この本は素晴らしい部類の本です。 楽しく面白く、ためになる本ですね。

ただ、例として挙げられているお話の多くは自己啓発の有名書から、出典を明記せず、無断(?)で引用されているようにも思えました。

昔、有名な牧師さんがいて、やっぱりその人も、いろいろな話を、出典もあげずに引用ばかりしていたので、牧師さん本人の話と信じてしまった人から批判が起こり、結局のところ、その地にいられなくなったそうです。

中身は素晴らしいのですから、きちんと引用に関してはすべての出典を明らかにして書く必然性があります。

元々のお話を書いた自己啓発の先人達が、きちんと評価されますように。

『あなたはできる』このシンプルなタイトルに惹かれて買ってみました。とてもよかったですが、ひとつ気になったのは、牧師というわりにあまり聖書の話をしないこと。もうちょっと突っ込んでくれてもいいなと思いました。
…と書いていたとき、朗報が！何と今年の7月に続編ともいえる”Become A Better You”が翻訳されて、PHPから出版されることに！しかも今回は完訳ということで、上下二巻で発売されるそうです！今から楽しみです。なお、タイトルは『あなたはできる』を意識してか、『あなたの出番です！』だとのこと。ジョエルファンの皆さま、あと少しの辛抱です！

著者ジョエル･オースティーン（Joel Osteen）師は、約３万人が集うアメリカ最大の教会レイクウッッド・チャーチの主任牧師です。この本は全米で４００万部を突破し、全世界でベストセラーになっています。ジョエル･オースティン牧師は、３０分のテレビ番組（英語）を持っており、全世界で放映しています。検索すれば、ネットやポッドキャスティングで見ることが出来、１時間半の日曜礼拝はネットで生放送しています（日本時間日曜２２時頃）。彼は純朴でユーモアが面白く、励ましの賜物が素晴らしい人物です。私は毎週彼のメッセージをネットで聴いてますが、否定的だった思いが肯定的に変えられ、非常に勇気づけられ、励まされます。彼は前主任牧師の父親の突然の死によって、劇的にレイクウッッドチャーチを継ぐことになりますが、逆境の時にどう対処すればよいかなど、とても実践的で前向きになれます。余談ですが、彼の奥さんはハリウッド女優のように美人で、彼自身もスマイリーパスター（笑顔の牧師）と呼ばれるほど非常に祝福された人です。この本に書かれている、こんな健全な考えを持つようになれば、自分もあんな風になれるのかなと思わせる素晴らしい人物です。http://www.lakewood.cc/