良くも悪くも、T-Boneですね・・・
★★★★☆
元黒カラスのM・フォードが全面バックアップしていた前作から、映画「Crazy Heart」の主題歌“The Weary Kind“(ボートラとして(13)に収録)で組んだ、T・ボーン・バーネットのプロデュースによる3作目。で、この手のルーツ系SSWがT・ボーンと組むとこうなるだろうなぁという、まんまの音って感じかな。
普段、誰のプロデュースなんてのは興味がないが、T・ボーンと聴くと、期待と不安が交錯する。何というか、Wallflowersの2ndとか、最近だとR・ランドルとか、ハマったときは本当に素晴らしい作品になるんだけど、一方で型にはめちゃう嫌いもあるんだよなぁ。で、今作は後者かなと。本当に必要最小限の、ローファイというかスカスカのバッキングにかぶさる、ディランやボスを彷彿とさせるハスキーでぶっきらぼうなボーカル、フォークロックと言って構わないような感じの曲がズラリ。例えるならば、『ネブラスカ』はいいアルバムだけど、『ネブラスカ』を最高傑作とする人は少数派でしょ?そんな感じかな。
もちろん決して悪いアルバムでは無いし、聴きこめばそれだけ味が出るのかもしれないが、まだまだ若く、かつ十分に売れているとは言い難い彼のようなポジションなら、ここまでの渋さを追求するよりも、もっとガツンと来てくれた方がいいような気がするんだけどどうだろう。老けこむのは早くね?
素材
★★★★★
テキサスのSSW、Ryan Binghamの通算4作目。
2007年のメジャーデビュー作からあっという間に現在のアメリカーナシーンを代表するSSWに。
本作はインディ時代からのMark Fordではなく、いま最も実績のあるT-Bone Burnettがプロデュースを務めている。
まぁ以前から交流があったみたいなので、当初から追いかけているファンならついに来たか・・・かもしれないが。
で、内容はやはりT-Bone Burnettの色が出たスモーキーでローファイなサウンドではあるがRyan Binghamそのものを強く感じることができる良作。
前作がやや体力的で厚く塗られたロックであり、もちろん個人的にはそんなベタなサザンロック、スワンプも大好きだが、やや離れた場所からはぼんやりとした湿度と温度ではあるが、芯の部分ははっきりとした熱を感じさせる本ロックも彼のもうひとつのサイドを上手く表現しているようで素晴らしいアルバムだと思う。
弦の響きと、Ryan Binghamの孤高のブルースを大切にしたフォークロック、サザンロック。
スライドやマンドリン、ハーモニカのザラザラとした手触りと、やや靄がかったサウンドプロダクション、スケールのでかいテキサンサウンドが渋い。
ラストはBrutonのマンドリンを聴くことが出来る名曲「Weary Kind」(サントラCrazy Heart)がボーナストラックとして収録されている。