ウッディ・アレンの描くN.Y.と家族の一面
★★★★★
この作品は芸術家一家に生まれたハンナ(ミア・ファーロー)、ホリー(ダイアン・ウィースト)、リー(バーバラ・ハーシー)の三姉妹が絡んだ恋愛劇をユーモアたっぷりに描いた作品。ウッディ・アレンの三姉妹もの「インテリア」とNYを愛情たっぷりに描いた「マンハッタン」を合わせたような作品だが、「インテリア」のように家族の愛憎をシリアスかつストイックに描いているわけでもなく、あくまでダメ男達(マイケル・ケインとウッディ・アレン)の恋愛劇中心に姉妹の確執をうまく織り込んだ絶妙なバランスの作品になっている。
また、「マンハッタン」と異なりNYの全景やアップタウンを中心としたシーンは極力抑え、公園、住宅、本屋、レストラン、JAZZ BAR、レコード・ショップといったNYの日常を巧みに盛り込んだところも素晴らしい(JAZZ BARではまるでウッディ・アレンがクラリネットを持って出て来そうな雰囲気だった)。まるで観るものがハンナ姉妹とNYを日常として感じられるような自然な雰囲気を醸し出している。だから逆に芸術家一家といった設定やウッディ・アレンお得意の家族パーティー(この作品では復活祭のパーティーが3回出る)も遠い存在にならず、ダメ男達の行動も笑って受け入れられる。そんな自然さが魅力の作品だ。
構成も凝っており、短い複数の章にわかれてその章ごとに主人公を変えて描いている。そんな構成もおしゃれなところ。
音楽も「マンハッタン」ではラプソディ・イン・ブルーでNYを表現していたが、今回はカウント・ベイシーのJazzでNYの日常を表現している。
気取らないNYと家族の内面をユーモアたっぷりに描いたウッディ・アレンの手腕が際立つ作品だ。
ところで、恋愛劇の中心となるバーバラ・ハーシーは「マンハッタン」のマリエル・ヘミングウェイとどこか似た雰囲気を感じた。ウッディ・アレン好みの女性が彼女たちなのだろうか。
愛すべきダメ男
★★★★★
この映画を見ると私はほっとします。なぜなら愛すべきダメ男(夫)の話だからです。
3姉妹の長女ミア・ファローの夫、マイケル・ケイン演じるエリオットは三女のリーと不倫しながら、
妻を見るとやっぱり妻を愛しているなどと言って、その優柔不断ぶりは、女性には「まったく男って生き物は!」って思われそうですが、
エリオットがリーへの気持ちを我慢できなくて言うセリフ「最高の教育を受け分別もある。
それでも押さえられない」は人という生き物の性(サガ)を見事に捉らえていてドキッとします。
マイケル・ケインはほんとにはまり役で、アカデミー賞助演男優賞を受賞するのも頷けます。ウディ・アレンは今回脇役に徹していて、
長女のミア・ファローの元夫で次女の恋人という役でダメ男ぶり全開です。
ミア・ファローとのからみはほとんどなく「ブロードウェイのダニーローズ」とは違う位置関係になってますね。
うーんマイケル・ケインには本当に親近感を覚えるなあ。
役者・演出としてのW.アレンを堪能できる最高傑作
★★★★☆
役者としてのW.アレンも堪能でき、演出家としても三姉妹の人間模様をコミカルに(といってもユーモアたっぷりに)、風刺も交えて描き、題材が多岐にわたっているにもかかわらず全体をシンプルにかつ短時間でまとめ、非常に観易く面白いW.アレンの最高傑作ではと思います。相変わらずアメリカ・ニューヨークのいい味をも感じました。
姉妹っていいな!と思った。
★★★★★
マンハッタンで暮らす3姉妹の物語です。
それぞれが抱える悩みや人間関係が複雑に絡み合ってストーリーが進んでいくんですけど、
家族、夫婦、兄弟(姉妹)、恋人…、いろんな人間関係の良い面・悪い面が描かれていて、共感を誘います。
芸術家肌のキャラクターばかりで、登場人物はみんな個性的ですが、
ユーモラスで味があって、どのキャラクターも大好きです。
一歩間違えると悲惨な結末に向ってしまいがちな題材ですが、
最期はハッピーエンドで登場人物みんなが幸せな結末を迎えるので、あと味も爽やか。
音楽もいいし、セントラルパークとかNYの街並みも素敵なので、
ぜひ一度観てみてください。
ウッデイ・アレンの最高傑作のひとつ!
★★★★★
長らく再発売されるのを待っていましたが、ついに発売されますね。ウッディ・アレンの作品では「世界中がアイ・ラブ・ユー」と並ぶ傑作だと思います。ウッディ・アレン監督の作品はアレン自身が脇に回った作品の方が秀作が多いような気がします。ウッディ・アレンは彼の十八番の神経症的に病気にこだわる男を演じています。他には、好きな女性と偶然出会ったようなふりをするのが微笑ましいマイケル・ケインや、頑固なマックス・フォン・シドー、キュートなバーバラ・ハーシーなど出演者が豪華で、この作品以後は彼の作品には低いギャラで多くのスター達が(おそらく俳優たち自身の希望で)出演するプチ・オールスター・キャストの作品が多くなりますが、アレン自身は出演場面は減っても監督として円熟味が増して以後現在まで、秀作の連打で年1作程度のハイペースで作品を発表しています。これで「カイロの紫のバラ」と「カメレオンマン」「地球は女で回ってる」などのDVDも発売されると嬉しいのですが。