マクロレンズで雑木林の特ダネを綴った自然への愛の散文詩
★★★★★
雑木林の自然が好きな人には堪えられない興味深い本だ。他に例を見ないユニークな本でもある。本書の特徴は次の3点にある。
筆者が自ら撮り溜めた(1)美しい写真が多数掲載されている。大小の写真枚数は全頁数とほぼ同じで、写真枚数の1割ほどは見開きの大サイズだ。マクロレンズで捉えた接写写真が多く、また見たこともない珍しい写真が数多くある。その意味で写真集の性格をも持っている。
加えて雑木林の動植物に関する(2)筆者の博識な話題がまた面白い。一般に知られていない雑木林の特ダネが「そうだったのか!」と読者を驚かせる。
それに全巻を通して(3)筆者の雑木林への愛情が溢れている。筆者自身が雑木林の一部であるかの如く、虫たちの目線、花々の目線、木々の目線で雑木林を語る淡々とした文章には詩情があり、散文詩という言葉が連想される。
現代生活に疲れた読者を雑木林の自然に誘う本だ。筆者が運営する八ヶ岳倶楽部の雑木林がこれで一段と面白くなる。