21世紀になろうとするころ、ローリン・ヒルは、フージーズでの活躍と一枚の素晴らしいソロ・アルバム『The Miseducation of Lauryn Hill』で、抜群のソウルの才能を見せつけた。だが重要なのは、ニーナ・シモンがいなければ、彼女の現在はなかっただろうということだ。アレサ・フランクリンが『Respect』を発表するよりも前から、シモンは声と卓越したピアノとその存在感で観客を魅了した。1960年代前半、彼女は市民運動家Medgar Eversの暗殺に際して『Mississippi Goddam』という曲を作ったが、これは最強の抗議ソングだと評価され続けている。自身の曲もカバー曲も歌ったが、どの歌も彼女らしさが表れていた。『Don't Smoke In Bed』のように悲しく物憂げなものもあれば、アップテンポの曲もあり、『Love Me or Leave Me』のように崇高なものもある。Amazon.co.ukの寄稿者である Lucy O'Brienがこのアルバムの編集を担当したが、その選曲はユニークで幅広い。『My Baby Just Cares For Me』のように有名なものや、ライブ録音、そしてO'Brien自身が気に入っている曲などが含まれている。1枚のディスクにはありえないほど多数の名曲が収められたこの『The Essential Nina Simone』は値打ちの高いCDだ。Randy Silver