流転する少年達
★★★★☆
宵風に「お前は確かに生きてた」と言いたい―。
雪見は服部の命に背き宵風の過去を調べ始める。そして、子供の頃の宵風を知る人物に出会うのだが…。
一方、壬晴は灰狼衆の首領・服部の庇護下(監視下)に入る。
しかし、迎えに来た宵風が服部に造反。壬晴も宵風と共に灰狼衆を飛び出す事に。
もう引き返す事はできない。かくして二人の逃避行が始まった。
大人達の様々な思惑を振り切り歩き出した少年達。壬晴と宵風の未来を一層案じずにはいられない展開です。
今にも命の灯が消えてしまいそうな宵風と、彼に寄り添う道を選んだ壬晴。
ますます強い絆で結ばれていってますが、頼る者もなく依存し合う二人が危うく儚げで見ていて切ないです。
この旅が二人にとって束の間の幸せなのか?ラストの見開きの二人の笑顔ときたら…。
こんな表情の宵風は初めてです。この時がずっと続けば良いのにと願わずにはいられない。
もちろん彼等を心配してくれる人達もちゃんといます。特に雪見の宵風に対する彼なりの優しさにジ〜ンときます。
雪見と宵風も切っても切れない縁で結ばれていると感じました。
しかし、組織の意向に反し宵風を擁護しようとする雪見もまた微妙な立場に立たされています。
そして、雪見の前に“分刀”として立ちはだかる雷光。いい場面で終わってます(泣)
物語は坂を転がり落ちるように終章へと向かってます。
最大の謎である壬晴の失われた過去、帷先生と壬晴の両親の関係などはまだ明かされてません。
それにしても一体どこに行ったんだ?帷先生(笑) 次巻の登場を楽しみにしてます。
宵風ファン必読!
★★★★★
宵風の過去が徐々に明らかになり出し、服部首領の化けの皮も剥れてきた第9巻。
最近の隠の王は1巻の頃と比べて、壬晴の“小悪魔”が激減し、悲愴感のある物語になってきていますね。特に宵風ファンの方にとってはかなりしんどい展開になっているように思います。そんな中で、この巻の雪見の漢っぷりには癒されます。特に教会での神父に対する台詞は、宵風ファンには感涙ものかと。こういう、宵風を大切に想っているのは壬晴だけじゃないって事を示す場面が出てくるのは嬉しいですね。この場面は宵風ファン必見だと思います。
他には、ラストの壬晴と宵風の表情にもグッとくるものがありますので、壬晴のファンの方にも必見の巻です。
話の流れ的に、次巻も悲愴感溢れる話になりそうなので、この巻を読んで癒しを得て、次巻を読む気力を蓄えると良いかと思います。