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ペット リマスター・エディション 3 (BEAM COMIX)

価格: ¥966
カテゴリ: コミック
ブランド: エンターブレイン
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「会社」社長一家の悪の魅力 ★★★★★
 この巻では、悪の組織「会社」の社長一家がその実力の片鱗を見せ付けます。

 超能力者同士の絆を逆手に取り、自分達の良い様に搾取するのを始め、家族の仇敵であるシンジゲートを易々と自分の物にしてしまう水際立った手口、そして凶悪犯罪に手を染めながらも揺らぎ無い落ち着きと深い家族愛を持つ奥の深さは敵役ながら非常に魅力的です。

 素晴らしい超能力と知性を持ちながらこの巻でも社長の掌中でもがく主人公のヒロキ、司、悟に廃人状態の林が誠に哀れに思えてしまいました。

 特に能力を持っている以外は要介護の状態で留め置かれた少女超能力者「ベイビー」メイリンの茫洋とした外観からは窺い知れなかった荒廃した内面(「ヤマ」)の描写は、良くこんなに可哀相な事を作者は考え付く物だと感心してしまうほどでした。

 何度読んでも新しい発見がある傑作です。続刊が、そして大幅加筆されていると言うクライマックスが待ち遠しくてなりません。
怖さと共感 ★★★★★
『ペット』では、いい作品の常として、さまざまなモチーフが、光となり陰となって陰影をつくっています。

親殺しもモチーフの一つです。
登場人物の名前を見てみましょう。林、司、悟、ヒロキ、メイリン。
林は、名字。司は、名前だと思いますが、名字でもいけます。悟とヒロキとメイリンは、名前。
林は、司、悟、メイリンの(ヤマ)親なので、名字。
司は、林の子(ペット)だけれど、ヒロキの(ヤマ)親なので、名字とも名前ともとれる、名。

自立という親殺し(もちろん、殺人という意味でなく、自立です)をするときに、子どもが葛藤するのは、現実の親とは別に自分の中にいる親も殺さなくてはならないから。君臨していたはずの親がいつしか、完璧な存在ではないことがわかり、それが他人なら当たり前に受け入れられるコトなのに、自分の親だと、完璧だと信じていた反動から、醜くさえ思えてくる。
その醜さを感じた感情を武器に、外にいる親と闘うわけですが、勝てば勝つほど、自分の内にいる親が、傷ついていく。
いつしか、自分の親であっても、多くの人と同じく、当たり前の人間であることを気づき、戦うことをやめ、受け入れていきます。
ですが、その許しに似た感情は、戦わなければ手に入れられません。

子であり親でもある司を主旋律として濃厚に流れる、この親殺しのモチーフは、作品全体にひろがり、そして怖い。
子があるだけでなく、司には”会社”という恐怖と、悟に対する割り切れない感情を抱いているから。

この怖さは、リアルだからこそです。現実と同じようなストーリーがあるからというのではなく、感情のもつれや外から受けるプレッシャーの構造が現実と同じように一筋の縄では、うまくいのです。
司のように、頭がいいだけでは、クリアできない。
基本的に暗いモチーフは、好きではないのですが、作り込まれているからおきる、共感を持ちました。