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Grandfather's Journey

価格: ¥663
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Sandpiper
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   本書は著者の自伝的3部作のうち、カルディコット賞受賞作であり、最も多く版を重ねている作品である。アメリカで多文化教育が盛んになるきっかけにもなった、教育者の間ではつとに有名な本だが、著者は「教育的」な本になるなどとは夢にも思わなかった。商業的にも、果たして絵本になり得るか、本人も懐疑的だったという。著者が表出せずにはいられなかった「祖父」のこと、すなわち、戦前、日本からアメリカに渡り、戦争勃発で帰国、そのまま再渡米を夢見ながら日本で亡くなった彼の2つの国への思い、「日本にいればアメリカを思い、アメリカにいれば日本を思う」という相反する感情は、日本で生まれアメリカに移民した著者自身の、まったく「個人的な」ものでもあったからからだ。

   ところがこの「個人的な」感情は、すっぽり「アメリカ的」感情と重なった。国籍と民族にまつわる、普遍的テーマとなったのである。アメリカは、大多数の「どこか系」アメリカ人(アフリカ系など)と少数の先住民が作る国。国籍はアメリカでも、民族、文化はまちまちだ。その、普段は意識していない、自分の属する文化に対する愛惜の念が、本書との出会いによってあらわになり、多くのアメリカ人(成人たち)の心を熱くした。

   本書は、「単一民族」と意識しがちな日本人には一種「踏み絵」的要素を持つ、危険な本でもある。読み手の想像力と感受性の有無が明らかになるのだ。他民族への想像力、外国で生きることへの想像力、そして他者の痛みに対する感受性の踏み絵である。

   たとえば暗くした部屋で、家族の思い出のスライドが次々と、白い壁に写し出されていく。ほんのり色がかかった頼りなげな光源が写像をちらつかせる…。スライド写真を居間で見るときのそんな懐かしさがこみ上げてくる本でもある。淡々とした語り口にさらに耳を澄ませば、人間愛がしみじみと、通奏低音のように響いてくる。(おおしま 英美)

静かで詩的な絵☆ ★★★☆☆
繊細で透明感のある、静止画のような絵がとても美しいです。
一つの出来事をクローズアップして感動的に描くのではなく、淡々とおじいちゃんの一生が描かれています。
「何もない、でも心にずっと余韻が残る」絵本です。
おじいちゃんという、子供にとっては父親ほどリアルに近くない肉親について、絵本の描きぶり全体で表現した質の高い作品だと思います。
郷愁の日本とアメリカ 大人向けの絵本 ★★★★☆
小説だと思い込んで買ってみたら短い絵本だったのですが、なかなか味のある、どちらかというと大人向けの絵本でした。戦前にアメリカに渡ってカリフォルニアで過ごし、妻とかの地で生まれ育った娘を連れて日本に戻ってきたお祖父さんが、カリフォルニアを懐かしむ。そして孫息子である「私」もいつかお祖父さんが話してくれたアメリカに渡り、お祖父さんと同じように、アメリカにいれば日本が懐かしくなるし、日本にいればアメリカが恋しくなるという気持ちを経験する..."The funny thing is, the moment I am in one country, I am homesick for the other." この絵本ではアメリカと日本という二つの国が故郷になっていますが、故郷がそんなに離れていなくても同じように感じるときもあるはず。そういう意味ではだれでも共感できるメッセージなのではないでしょうか。1点気になるところは、とてもすてきな絵だとは思うし、classyではあるけれど、あまりにも日本人の顔の東洋的特徴が協調されすぎているように感じました。
故郷への思い? ★☆☆☆☆
故郷への執着が少ない私には、ああ、そうですか、という本でした。
絵も別によくないし・・・。

絵本は人それぞれ。
これが、人気なのかああ。
Our journey ★★★★★
妻(アメリカ人)が2才の息子のために購入した本です。本棚にあるのを読んで聞かせた所、じっと最期まで聞いていました。
私はそのとき初めて読んだのですが、日本で暮らす妻の胸中を思うと同時に、じっと絵本を見つめている息子が自分の境遇を考えているかのように思え、胸が詰まる思いがしました。普段見る絵本と違う美しい絵が彼の心をとらえたんでしょう。
普段は、動物や乗り物の本が大好きな元気な男の子で、興味のない本には見向きもしないのでこの反応には非常に驚きました。
本のかかれている対象年令で子供に合う本を探していましたが、それって知らないうちに子供を年令と言う枠に押し込んでいたのかなと思いました。ノスタルジックな美しい思い出話という感じの本です。人によって評価の分かれる本のような気がします。私はとても気に入りました。
シンプルな文章で繊細な思いを伝えている、自伝的絵本 ★★★★★
「Bicycle Man」、「Allison」に次いで3冊目に読んだAllen Sayのこの本で、すっかり彼のファンになりました!

これは自伝です。といっても、主役は戦前に渡米した彼のおじいさん。おじいさんから彼までの家族史を軸に、おじいさんや彼のふるさと(日本とアメリカ)に対する思いがぼくとつに語られています。

おじいさんの経験や気持ちが、こんなにも大きく孫に影響を与えていることに、心動かされました。おじいさんがこの本を読んだら、胸が熱くなるだろうなあ、と思うと共に、自分も遠い未来に孫をもったら、孫は私の人生をどうみるんだろうか、なんて思いをはせました。

Allen Sayの絵本の魅力は、その美しく現実感のある絵に加えて、児童書らしくないテーマ設定にあると思います。ふるさとへの思いや世代を渡って受け継がれる気持ち、そんな微妙で説明しづらいテーマを子供たちに伝えたい、という願いが伝わってきます。

英文はとても短く、各ページに1、2行。辞書をひきひき、学校で英語を習っているだけの中学生でも、なんとなく意味は分かりそうです。こんなにシンプルな文章で、こんなに繊細な思いが読者に伝わってくるなんて、びっくりです!