まず何を伝えたいのかがまったくわからない。誤字もたくさんあり、情報の出どころすらはっきり明記していない。こんな本が出回っていいのかは甚だ疑問である。

この本は、本来、著者らが教室で限定使用すべきものでしょう。世間一般に公表する値打ちがこの本にあると信じていたのなら、かなり救いがたいです。ビジネスの世界では、このレベルのレポートは全く通用しないということを是非知ってほしい。

基本的なfact-findingすら行わず、あり合せの日本語資料のパッチワーク作業が著者らの労力のすべて。鉄鋼生産量の統計すら新聞記事から孫引きするというお粗末さ。国連統計すら利用したことがないのか、手抜きの誘惑に負けたのかは知らないが、この手の粗悪本を半ば強制的に買わされるであろう学生は気の毒と言うほかはない。

とても専門家の作品とは思えない。学生が書いたレポートとして評価しても、できの良い部類には属さない。分析的センスは皆無、しかも使用された資料のほぼすべてが日本語で書かれた二次資料であり、各社のアニュアルレポートすら参照した痕跡がない。著者らは一体どのような卒論・ゼミ論指導をしているのだろうか。もっとも、この本はゼミ論や卒論執筆の反面教師として書いたというのなら十二分に納得できる内容ではある。