値段がもう少し安ければ★6ぐらい
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一般の国語辞書は、たまに引く程度(あくまでも一般の人間なら)のものだが、
これは違う。辞書であって辞書ではない。表現法の勉強はもとより、読み物としても抜群に面白い。なぜか?文例が名文だからだ。著者のセンスに脱帽
夏目漱石、永井荷風、三島由紀夫をはじめ、琴線に触れる文章の宝庫。
百人一首からも文例として引用されており、一首に物心が有るひとにもオススメ
この本を読めば、表現法という観点から作品を鳥瞰することができる。
物語の咀嚼・吟味が一段楽しくなる。噛めば噛むほどなんちゃらとはまさにこの本のこと。
勿論、創作文・日記を書くときにも懐刀になってくれる。
何度も繰り返し読み込み体にしみこませることが一番だ。
レトリックを体系的に理解できる読み物であり辞典でもある。
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辞典というよりは読み物です。暗示的看過法から列挙法まで五十音順に並んだ項目を順番に読み進めています。直喩と隠喩の違いは何か、という点にも分かりやすい説明をしてくれているので、初心者には嬉しい本です。
まず、文字の大きさやレイアウトなど、デザインの点で優れた本です。この手の本としては行間や余白が多めに取ってあり、読みやすいデザインです。罫線などを効果的に利用しているので、本文のパート、用例のパート、見出し、注釈などが区別しやすい。辞典として使う場合にも便利だと思います。隠喩のお手本が見たい場合には隠喩の用例のページへ行けばいいわけです。この手の本としてはかなりポップなデザインだと思います。
レトリックを説明だけで教えようとするとものすごく難しい文章になってしまうわけですが、「百聞は一見にしかず」です。この本では本文のあと用例が豊富に載せてあり、用例ごとに丁寧な解説も付いています。この本の40〜50%ぐらいは用例とその解説ですね。本文を読んでピンと来なくても、用例の部分を見るとすんなり理解できます。よく似たレトリックの違いなど、細かい部分は本文を読めば分かります。
断片的でなく体系的にレトリックが学べて、楽しく読めて、お手本となる素晴らしい表現にたくさん触れることが出来て、読み終わったらレトリック辞典として使える。良書だと思います。