独りよがりではモノは作れない
★★★★★
商品開発とはこうあるべきだと再認識させてくれました。
特に難しい方法論などは書かれていないが、プロジェクトX 風の精神論は汲み取ることが出来る。
独りよがりではモノは作れないということと、失敗は成功の母であるということのお手本
なぜ伊右衛門は売れたのか。という問いは読者自信に考えるきっかけを与えている良書。
開発者沖中直人の思考に、多くの人が触れて欲しいものである
★★★☆☆
新商品開発など後から講釈すれば、当たり前のことをしているに過ぎない。
お茶が日本人のDNAに染み付いている、というコンセプトを大事にしたこと。
だからこそ老舗と提携したこと、美味しいお茶を造るために巨額の設備投資をしたこと
すべて当たり前のことである。しかし大組織の中でそれを無から
実際に成し遂げるのは困難であり、ましてや成功例はその中でも少ない。
本書はそんな数少ない成功例「伊右衛門」のノンフィクションである。
本件については職場の外部研修で取り扱っていたため、
私は興味深く読み通すことができた。
やや気合い(?)が足りない筆致ではあるが
開発者沖中直人の思考に、多くの人が触れて欲しいものである。
商品寿命の短い時代に「100年ブランド」を標榜する
★★★★★
登場時にはかなりのインパクトがあった「伊右衛門」だが、発売からかなり経った現在でも、お茶を選ぶ際にはついつい「伊右衛門」を手に取っている自分がいる。
商品の入れ替わりが激しい昨今、それだけでもすごいことだ。
本書は、その「伊右衛門」の立ち上げに携わった人々のノンフィクションと、文庫版にあたって最新事情を書き下ろしたもの。
それにしても、やはり熱意を込めて商品を開発する人たちのストーリーは読んでいて痛快だ。
また、ちょっと時間が経った今だからこそ、彼らの活動がいかに時代を先取りしていたかがよくわかる。
一つの商品の寿命が短くなったといわれる時代、逆に「100年ブランド」を標榜するサントリーに凄みを覚える一冊だった。
サントリー企業PR本です。はい。
★★☆☆☆
茶葉のことに紙数をさいているが、清涼飲料の世界では「千に三」の割合でしか本当のヒットが生まれないというのが常識であれば、清涼飲料の世界とは、まさしく水商売そのもの。売れる方程式なんかないし、この本を手本にして老舗とコラボしたから成功が約束されているわけでもない。ひとつひとつの積み重ねがうまくいっただけである。でも、うまくいくようにするのが会社から給与を貰っている社員がすべきことであって、美談でも創意工夫でもアイディアやひらめきの問題でもない。奇跡的なのは、この本を読んでいると、サントリーはいい意味で社員に無駄を推奨している会社ではなく、失敗やそこそこの事例とった不本意な結果をバネにしていること。であれば、成功をライターに書かせてこんな内容を形にするべきなのか、という疑念が浮かんできます。成功を更なる成功に、という視点があればいいのだが、CMもうまくいきました、で終わってる。広報的にはともかく、ビジネス本としては、いかがなものか。
それでも上司と部下とのあり方には示唆するものがあるので、星は2つにします。
商品開発に携わる人は見ていいかも
★★★☆☆
サントリーの緑茶、伊右衛門ができるまでをプロジェクトX風に語った一冊。
非常に読みやすい一冊です。
話がうまく出来すぎている感がありますが、それも一興。
この本自体もサントリーのマーケッティングの一環なのでしょう。
相乗効果というのでしょうか、本当に上手なやり方です。
個人的に興味深かったのは、伊右衛門の成功例より熟茶の失敗例でした。
当時、2文字のお茶というのが各社から乱発されていました。
(生茶、熟茶、聞茶、旨茶など)
その中でも、熟茶がすぐに店頭から消えたことは大変印象に残っていました。
商品開発者が良いと思ったものでも消費者から受け入れられずに
あっという間に消えていく様は、激しい戦国時代の動乱期のようです。
その中でも、失敗を重ねて再挑戦することができるこの会社は、
それだけの基礎体力(企業規模)と土壌が育っている証拠なのでしょう。
赤字のビール事業を辛抱強く続けてきただけのことはあります。
全ての会社にこのことを応用できるかは疑問ですが、
「すべてを知って、愛さなければ商品開発をする資格などない」
という言葉は心に残りました。
サクッとに読めますので、食品の商品開発に携わる方はみてもいいかもしれません。