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リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)

価格: ¥945
カテゴリ: 新書
ブランド: 光文社
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内省し、学ぶ大人なら、この本に正解と結論を求めてはいけない ★★★★★
 「上司拒否。」や「課長になりたくない症候群」。その気持は非常によくわかる。現在の企業ではプレイングマネジャーが要求されており、上下からの要求は厳しくなる一方だ。苦しんでいる上司を見て、ああはなりたくないと30代の管理職予備群が思っても不思議ではない。

 しかし、プレイングマネジャーであるからこそ、仕事に対して適切な助言ができるはずであり、聞く方も納得感があるだろうとする意見もある。また、困難が続く時代だからこそ、行動して内省し次に結びつける作業が全員に必要とされるのであり、上司はその環境を整える必要があるとする。上司が手取り足取り教えるのがOJTではない。部門全体のネットワークを整え、皆で高め合うことが大切だと説く。

 その後、社会人であっても学び続け、自分を振り返る必要があるのは当たり前である。社内の自部門に引き篭っていては学びは少ない。会社外での学びの機会を自分で作り、成長し、やがて次世代へ残すものを産み出していくのもマネジャーの大切な役割であろうと説く。
 その役割を課長レベルにだけ押し付けるのは、部長以外の怠慢であろう。他人に育って欲しいなら、自分が育つ姿をまず見せよ。一律的な研修だけで成長などするはずがないと様々な分野に渡って語り合う二人。本当に金井壽宏氏は素晴らしい。
キャリアを「深く考えたい」人は、読んでみては? ★★★☆☆

教育学者と経営学者が、
往復書簡形式で書き進めていくスタイル。
ダレずに読めたけど、
ちょっと専門的だと思いました。
人事系の人なら、
日常の疑問を参照しんがら読み進めていけると
思います。

以下、ほほうと思った点を。

◎成長感のあるタイプは、社内と社外にかかわり先をもっている。

◎上手は下手の見本、下手は上手の見本なり。

◎2重ループ学習 @仕事を学ぶ A仕事のやり方をまなぶ。

◎こういうもんだ、これが正解、という言い方は過去の成功体験に照らし合わせているだけかもしれない。

◎経験か理論か、という二者択一の問い自体が貧しい。

◎成長とは、経験から持論を構築していくこと。

◎持論(マイセオリー)を、理論(パブリックセオリー)に照らし合わせてみる。

◎構築した持論を疑い、時には捨てること。環境の変化に適応できなくなってしまう。


◎内向きだけでもダメ(自分を犠牲にして社内政治だけが上手になる)、
外向けでもダメ(スキルアップを目指し資格取得・社外講座受講を目指す)
異なる世代視点からの企業内教育論 ★★★☆☆
30代の中原教授と50代の金井教授の共著。
異なる世代から見た企業内教育の問題点・提言点を纏めてある。以前からお二人の本は多読しており、それぞれ主催のラーニングバーや人勢塾に改めて関心を持った。

金井教授の3月小学館から出版予定の「人勢塾」成功のセオリー (単行本)楽しみにしています。
人の発達は一生続く ★★★★☆
 本書は企業の内外で起こっている大人の学習と成長に関心を持つ若手教育者(中原淳)と、企業に入ってからも続く生涯キャリア発達に関心を持つ異色の経営学者(金井壽宏)による共著です。手に取った理由は二つあります。ひとつは、今回キーワードになっているリフレクション(内省)がビジネスでの成果を上げるために重要なファクターとなっていることを少し前から経験的に持論として持っていたこと。二つ目は著者の金井氏の著書は何冊か拝見しており、職場のモチベーションに関して共感する部分が多く、本書でで普段感じていることを理論とつき合わせて整理をしてあったらと期待していました。

 人の発達は一生続くという考えかたは、その通りだと思います。そういう意味で個人的に研鑽を積んでいますが、本書では更に一歩踏み込んで、企業組織の中でメンバーが相互に先生役なれるような職場をつくり、職場そのものを学習の場にすることがこれからのマネージャーの役割だと指摘しています。今まさに私が職場で実験しようとしていることなので、大変興味深く読むことができました。

 ただ、大人の学びに企業の研修が必要なのかという点は若干の疑問が残ります。OFF JTは大事であることは理解しています。しかし、体験型のチームビルディング研修など日常業務とあまりにもかけ離れた体験が成果の向上に寄与しているか懐疑的です。大人の学びと成果を上げることを目標とする研修はゴールが違うと思います。大人の学びまで企業やってもらう必要があるのでしょうか。大人の学びに関しては個々人が自分の人生に責任を持つ意味でも個別に実行していき、その成果が結果的に仕事の成果につながっていくことが健全な気がしました。
人材育成理論をまとめた良書。もう一歩踏み込んだ提言を。 ★★★☆☆
本書の前半は、タイトルのとおり「内省」によってマネージャは成長する、という趣旨の話。後半はだんだんと話が発展して、大人の学びや成長とか、企業の人材育成の現状などに言及しています。

読後感としては主に以下の3点です。

1)新書ながらきちんとまとまっており、人材育成を考える上で基本となる理論的なフレームワークが分かりやすく整理されています。

中原氏の以前の著作である「企業内人材育成入門」は、記載されている職場の事例がピンボケで、「やはり学者の人はこれが限界か…」と感じていました。

しかし今回の著作ではそうしたピンボケもあまり感じられず、企業の実情をかなり踏み込んで把握されてきたことが読み取れます。中原氏はセンスのいい方なのだと感じました。

2)ただ、他のレビューアーの方も書いておられますが、本書の内容は企業の担当者がこれまで考えたり議論してきたことを理論的に整理した域を出ず、「その先の光景」を見せるところまでは行ってないのが正直なところかと思います。

そうした取り組みをしている企業ともっと連携し、さらに深い研究と提言がなされることを望みます。

3)なお、本書の中で著者が見落とされているのは企業の人事担当者の実情です。多くの企業の人事部門において、「人材育成」という仕事はメイン・キャリアとして確立されていません。

優秀な人事担当者は中堅・ベテランと成長するにしたがって、人事制度設計、労働法規関係、あるいは組合対策といった「主流の仕事」についていきます。

結果として、人材育成は入社間もない若手社員、他部門からの異動者、定年間近のベテラン社員などが「私の教育論」を頼りに、暗中模索しながら取り組む破目になります。

本書の中で著者が指摘している頼りない人材担当者は、そうしたことの現れと思います。

そうした意味で、人材育成担当者を育てるための仕組み・人材・環境などについても、踏み込んだ提言があればなおよいと思いました。