決定盤 ジョン・レノン~ワーキング・クラス・ヒーロー~
価格: ¥3,500
2005年10月9日、この日ジョン・レノンは65歳を迎えるはずだった。生きていればの話だが…。その代わりに、ビートルズのリーダーであり、果てしなく複雑なロックのアイコンであった彼は、1980年、音楽界からの長い自主亡命の末、温かい反響に包まれてレコーディングに復帰したあの時点に永久に凍結されて残ることになった。しかし、この2枚組38トラックのコレクションは、単に痛ましくもジョン・レノンが決して祝うことのできなかったこの象徴的な誕生日を記念するだけのものではない。ビートルズ解散後の彼のしばしば矛盾したキャリアを最もわかりやすく簡潔にまとめたのがこのアルバムであることは、おそらく間違いない。 スローガンを掲げ、支持者たちを扇動する作品「パワー・トゥ・ザ・ピープル」「Woman is the Nigger of the World」(邦題「女は世界の奴隷か」)「Give Peace a Chance」(邦題「平和を我等に」)「ワーキング・クラス・ヒーロー」と、身を切られるようなもの(「コールド・ターキー」)、「マザー」から臆面もないセンチメンタル(「オー・ヨーコ」)、「ウォッチング・ザ・ホイールズ」「スターティング・オーヴァー」まで、幅の広い半自伝的な空想の世界に焦点は絞られているかもしれないが、彼がここに記録された丸5年を半隠居状態で過ごしていたことを考えれば、一連の作品は非常にしっかりして、多様性に富んでいる。 「イマジン」「Happy Xmas (War is Over)」(邦題「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」)は、時代の最も大きく目を開いた理想主義者を見せてくれるショーケースと言えるかもしれないが、彼のほかの作品の大半が並べて見せるさまざまな情感の幅は、ジョン・レノンを感情的、哲学的な複雑性の塊だと主張している。かつてオノ・ヨーコはこう言った。「みんな、彼を箱の中に収めたがってきた。でも、彼は正真正銘の人間だったの。3次元で生きていた人間……怒ったり悲しんだりもするし、とても傷つきやすくてセンチメンタルなときもある。彼の人生のどの時期にもそういうことすべてがあった」このセットはそうした複雑さを避けて通ることをしない。実際、それがあるからこそ、ここに集められた歌はすばらしいのだ。(Jerry McCulley, Amazon.com)