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だから山谷はやめられねえ―「僕」が日雇い労働者だった180日 (幻冬舎アウトロー文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
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山谷について知ることはあまりできません ★★☆☆☆
「僕は……と思っていたけど実際は違った」という記述が繰り返し出てくるのだが、

(1)「……」の部分はげんなりするほどのステレオタイプである(「脂ぎってギラギラ」、「この男の自己中心的で強引な考え方が、いかにも山谷労働者らしく感じられた」、「飯場労働者はタラタラといい加減に仕事をしているのだろう」、「山谷に求人を出している飯場の社長というと半分ちんぴらのような人を想像していたが」)。本書の最大の驚きは、このような著者が、山谷に行く以前にすでに炊き出しボランティアを経験したこともある大学院生であったということだ。

(2)それらが誤解だったことが山谷に行って分かったと言う、その著者の結論は、山谷や飯場の人たちの選択は個人の自由だ、という、これまたげんなりするほどの多数派意見そのままである。
 たしかに著者は、山谷住人に対する「外部からの」「影響」についても思いをめぐらす。しかしその影響とは、「ボランティアによる炊き出し、行政によるパン券やドヤ券の支給」が男たちが山谷から離れられない理由の一つだ、という程度のものなのである。これは山谷に行かなくてもそう思っている人が多いところの、私たち読者層にとって実に都合の良い結論にすぎない。だから自分とは異質で無関係な人たちの話として安心して読めるわけだ。幻冬舎アウトロー大賞受賞も納得である。

(3)そもそも、現在の著者のような仕事や生活を半年経験した人が「僕はテレビ業界は……と思っていたけど実際は違った」という本を書いたならば、半年で何が分かったって言うんだよ、とは思わないのだろうか。山谷を対象とした時には、なぜそれが許されるんだろうか。
アウトロー・・・ ★★★★☆
本書のタイトルと「アウトロー文庫」からの出版ということで、
未読の人は、フツーの大学生の著者が山谷生活を体験するうちに
ミイラ取りがミイラになるようにそこから抜け出せなくなったという内容を思い浮かぶかもしれないけど、
そういう内容では無いので注意。

内容は本書のタイトルにある「山谷」の実態というより、
飯場での日雇い肉体労働の実態と、そこで生きるアウトローな男達の日常、
そして彼等と一緒に生活した著者の職業観や人生観がどう変わっていったか・・・、
という内容が主です。

著者は彼等の生活に特に共感もしないし、世間に向かって声高に「彼らの待遇改善を!!」
と声を発するような左翼がよくやりそうな正義感をひけらかすわけでもない。
あくまで自分が「何か」を得る為に自分の知らない世界に飛び込んでいって、
そこで見聞きした出来事、自分が思ったこと感じたことを書き連ねているだけ。

著者は「山谷」も「飯場」も「日雇い」も期間限定の体験なので仕方ないのかもしれないが、
もっと彼等一人一人を深く掘り下げてほしかったなぁ・・というのが読後の感想。
山谷でも飯場でも労務者の過去を聞くのはタブーらしいから無理なのかもしれないけどね。

必要以上に彼らを持ち上げたりしないのは好感がもてる。
それをやっちゃうと「蟹工船」みたいな共産党の宣伝本みたいになるし・・。
僕としては著者がどう変わっていったかには興味がなくて彼等がどういう生い立ちで、
これからどこに行こうとしてるのかを読みたかったけど、
あくまでこの本の主人公は著者なわけです・・・。

日本を支える労働者の実態 ★★★★☆
著者は実体験として日雇い労働の現場を描いています。

少し感動したのは、泥だらけに働く彼らが仕事に対して、
非常に真面目で、プライドを持って取り組んでいること。

そして、彼らの多くは、多少コミュニケーションが下手でも、
現代人が忘れてしまった純粋さや優しさを持っていて、
本当の意味で人間らしい人間であること。

それぞれの人がそれぞれの理由で、日雇い労働という
過酷な道を選んだのだと思いますが、今の日本の産業を
支えてくれているのは彼らのような労働者であることを再認識した。

中島みゆきの「重き荷を負いて」という曲の
「足元の石ころを避けるのが精一杯で、道を選ぶ余裕も無く、自分を選ぶ余裕も無く・・・」
を思い出しました。

苦しみの中でもがいただけに見える人生も、きっと素晴らしい意味があるのだと信じたい。
フィールドワークの模範 ★★★★★
作者の塚田氏は真面目で不器用な人だ。

大学生は卒業したら企業に就職するのが普通だ。あらかじめ敷かれたレールの上を何の疑問もなく進んで行く。
そんな普通の人生ルートを歩めなかった人だ。

著者は大学在学中からホームレス支援のボランティアに参加する。
ホームレスという言わば社会の底辺で生きる人たちと接することによって、彼なりの社会観・人生観を見出そうと努める。
しかしそれは強者の立場から弱者を見下げる視点であることを彼は敏感に感じる。
そうではなく、弱者側から日本社会を見なければ、ホームレスやドヤ街の真実はつかめない。

そこで彼は大学院在学中にも係わらず、ドヤ街に泊まり日雇い作業に携わったり、工事現場に泊まりがけで働きに出たりする。当然、自分が学生という身分は周囲の労働者たちには明かさずに。

彼がドヤ街や飯場で出会う個性豊かで一癖も二癖もある連中の実態は、悲しくもあり、したたかでもある。
そんな大人たちと寝食を共にし、著者は「生きる」という事の困難さと理不尽な社会のしくみを目の当たりにする。

塚田さんの不器用さがイイ。
作者が実際に山谷に飛び込んだ渾身のルポ ★★★★☆
知っているようで何も知らなかったドヤ街の生活を実際に自分の目で見て書いただけあって、迫力がある。山奥のハンバ生活も興味深い。
ただ、後半になって作者の愚痴が多くなったのには閉口した。
それでも面白いルポだと言えます。おすすめ。