この本は最高!
★★★★★
巌谷國士の『封印された星―瀧口修造と日本のアーティストたち』はすばらしい本だ。シュルレアリスト瀧口修造と親しくしていた著者が、日本のアーティストたちについてここ30年のあいだに発表した文章を集めたものだ。これは時代の証言であると同時に、卓越した芸術論である。つくられた芸術作品よりもどのように生きるのかという「生」を重視した芸術運動がシュルレアリスムだとすれば、彼はまさに、シュルレアリストのまなざしをもっている。この本は、「現実」のなかに封印されている「星」を見つけることの重要性、つまり現実とは、わたしたちが思っているほどつまらないものではなく驚くような出会いや事件があるということを分からせてくれる。この本は中味だけでなく、装丁も美しい(装丁で賞を獲得している)。美本好きなひとにもおすすめだ。