因縁深い神仏信仰の道をたどる
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古来日本人の暮しには、仏道と神道が時には対立し、時には和睦しながら、さまざまに関係を変えて共存してきた。人々は神を敬い、仏を尊ぶのが慣わしとなっている。しかし、多くの日本人は改まって問われると、無宗教と答える。その一方で、頼ることのできる何ものかを求めている。眼に見えない霊性や霊魂などの存在を認めようとしている。自らを超えた大いなるものの宿る聖地がわが国には数多くある。日本の文化の「かたち」と「こころ」が認められるということである。
私たちが多面的で多様性をもった神々を敬うと同時に、種々の仏をも信じるという信仰のあり方の問題である。山や森、自然のうちにある神仏の聖地霊場は、日本人の心のふるさとであり、心のよりどころでもある。神と仏、そして人を結ぶのは道である。長い年月をかけて、神の道と仏の道は重なり合いながら、参詣道や巡礼道として整えられてきた。祈りの道は全国各地に存在する。
画期的な「神仏霊場 巡礼の道」の誕生。江戸時代の「お伊勢参り」が聖地巡礼のモデル。神と仏の聖地「山岳」の苦行と功徳。自然のうちに共存する「古都」の神と仏。巻末には全国神仏150霊場一覧が掲載されている。