美味しく読ませていただき、考えさせてもらいました
★★★★☆
タイトルがなかなかよいですね。食文化の探究者として、それぞれ多彩な著作を世に送りだしているお二人の対談集です。食文化について・お二人それぞれの来し方について、縦横無尽に(時間的に、かつ空間的に)語っています。グルメという言葉とは別の意味で豊かな食体験を重ね、食という行為を繰り返しつつ生きる宿命にある人間を考え続けているお二人の、テンポのよい対談で、楽しく読めます。食文化に興味を持っている人の入門書としてもよいのでは。精力的なフィールドワークをこなすには、確かに恐ろしく強靱な「考える胃袋」が必要なのだろうな。毎度毎度食べられて姿を消す食の文化歴史を記録したり守ったりすることは、地球規模で考えると想像以上にとりとめがなく、気の遠くなるような仕事なのだろうと思います。正面からそれに取り組むお二人の、食そして人間に対する愛情とエネルギーを感じることができました。…星4つなのは、内容にとりたてて不満があるからではありません。お二人それぞれの著作を読んでない方は、ここで終わることなく、そちらも読んでみてほしいな、という意味です。