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メランコリック・リビドー (幻冬舎ルチル文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎コミックス
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恋は大人をコドモにする ★★★★★
カメラマン×大学生
いつも飄々として笑みの裏が見えない攻・日和佐
幼い頃の恋心を一途に抱え続けている受・千夏史

「大人になったら・・」
日和佐のその言葉に囚われて、縋って、ただただ早く大人になりたいと思い続けてきた千夏史。
けれど、20歳になるその日が来ても別段、何が変わるわけでもなかった。
どう足掻いたところで日和佐との9歳の年齢差は埋まらないのだし、
幼さの多分に残る容姿と世間知らずで純情な性格の千夏史なぞ
子供嫌いを公言する日和佐にとっては迷惑でウザいガキに変わりはない。
わかってはいても好き。。
誕生日祝いに手渡された数枚の紙幣を、まるでプレゼントそのもののように大切に保管したり、
揶揄か気まぐれか、「土産」と放られた林檎の形の犬のオモチャをキーホルダーにして
肌身離さず持っていたりするぐらいに好き。
日和佐に関するものなら何でも全てが「特別」

日和佐の心に澱み居座り続けていたものが、
この千夏史の一途な恋心に揺さぶられ、流され、やがて綺麗に浄化されていく。
洗われてしまえば呆気ないもので、日和佐は千夏史に甘くベッタリですね。
どちらが子供かわからない。
百戦錬磨の男でも、ちゃんと恋すりゃこんなもんなんだなと(笑)
素敵なお話でした。
優等生の底力 ★★★★★
BL創作とかけて、フィギュアスケート競技のショートプログラムと説く。
そのココロは?
規定の課題をいかにうまくこなすかが大切です。

規定のスピンやジャンプを全てこなし、技術と芸術両面から審査されるフィギュアのSP。かたや、「攻は受にメロメロ」「エッチはとにかくエロく」「受の恋は必ず成就」などの厳しいオキテがあるBL。審査員である読者は、作者がルールを守り、なおかつ上手できれいな作品に仕上げたかどうか、常に目を光らせています。
砂原作品は、オキテを真面目に一生懸命こなす点ではBL優等生です。
ただの優等生ならある程度頑張れば誰でもなれるし、ほとんどの人がそこで満足します。しかしそこから先をさらに目指すのが、砂原さんのすごいところです。
ひとつひとつのエピソードを深く掘り下げていて、予定調和の世界において予期せぬ感銘をもたらしてくれます。
ダメモトで5回転ジャンプに挑戦したり、審査対象外の突飛なワザを繰り出さずにいられない、作者の業を感じさせるBLだってわたしは愛していますが、
素直なストーリーと卓越したテーマ性が共存する本作には、正統派の努力家だけが持つ底力を感じます。
コインの秘密 ★★★★★
由多夏の病室を訪れた千夏史に由多夏が渡したコイン・・・形見となってしまったそのコインは由多夏が欲しいものを手に入れるために使った大切な宝物でした。
いつの日か弟の千夏史が自分と同じようにそれを使う日が来ることを願っていたのも知れないですね。
愛を得たまま若くして病死してしまった兄の想いが、弟を通して7年を経たのち日和佐との間に生まれ変わったような気がして切なくなりました。
砂原さんの小説は、いつもどこか胸をギュッと絞られるような気がするのですが、今回、日和佐が7年の時を経て、思い出の写真箱を開けて、そこに若かった自分と由多夏の姿を見た時に、幼かったけれど真剣な恋だったと気付いた場面に思わずホロリ・・・としました。

3人の話 ★★★★★
子供嫌いを公言する好きな人の為に早く大人になりたいと願う千夏史。
子供は嫌いと無意識にバリアをはりつづける日和佐。
千夏史の兄で、強くて、優しくて、天の邪鬼な由多夏(故人)。

千夏史の天然と日和佐の大人げなさに笑いつつも、2人の現在進行形の話と、
少しずつ語られる3人それぞれの過去の話にウルっときました。
兄弟のエピソードをもう少し読みたかったです。

砂原さんには毎度やられるなぁ。
とても面白かったです。
予想外のスピンオフ ★★★★★
以前も真夜中に降る光 (幻冬舎ルチル文庫)が意外なスピンオフで驚いたのですが、
今回もセンチメンタル・セクスアリス (幻冬舎ルチル文庫)からの予想外のキャラのスピンオフです。
といっても、前作の主人公春巳はほんのちょっとの登場なので、
本作だけでも十分楽しめます。

亡兄由多夏の恋人、売れっ子写真家の日和佐明へ、
10年以上も密かに一途に片想いしている大学生の千夏史。
男も女もとっかえひっかえで体にだらしのない日和佐に「子供は嫌いだ」と
全く相手にしてもらえない千夏史は、
意地っ張りで生意気な態度をとりつつも「好き」という気持ちをひた隠し、
ハウスキーパーとして日和佐の部屋に上がりこむけれど・・・

小道具を一つでもバラしてしまうと即ネタバレになってしまいそうなほど、
細やかな展開。
数年前に亡くなった兄、由多夏と日和佐の高校生時代と、
全く望みのなさそうな千夏史の今とが交互に綴られ、
日和佐と兄の由多夏は本当はどんな関係だったのか?、
日和佐は千夏史をどう想っているのか?、が
なかなかはっきりと明かされないため、
日和佐の言動に何度も傷付いてばかりの千夏史の切なさ、
由多夏の謎めいた態度に惑わされる日和佐のもやもやした感情に
寄り添いながら、2つの恋をじんわり切なく味わえます。

兄が亡くなっていることで、どうしてもトーンは物悲しいし、
日和佐の横暴ぶりにも好き嫌いが分かれそうですが、
最後にはそれらが1つにつながり、やさしい結末が待っています。

あとがきの後に後日談の甘々短編付きなのは、
かなりうれしいおまけでした。