その他、本書にはデータを分析する上でかなりテクニカルな方法を、共分散構造分析を応用することで提示している。例えば、「回答の揺れ」によって不当に低められた相関係数を、共分散構造分析を用いることによって修正することが可能なこと、共分散構造分析を用いることによって回帰分析のときに生じる多重共線性を回避できること、その他、いろいろなテクニカルな方法が記述されているので参考になる。
問題点
本書は、事例紹介のため、共分散構造分析の成果・結果を表す「モデルの適合度」指標の解説などはない。事例によって、モデルの適合度が「よい結果」であるというときの指標数値基準が異なっている傾向が全体として見られなくもない。よって、場合によっては混乱を与える可能性もある。この点については、共分散構造分析の適合度指標を解説した別冊にあたって補完する必要があるだろう。また、データ処理に対するさまざまな知識が必要である、ということも示唆していると思われる。