いくえみさんの得意分野『家族もの』の完結作。この作品の面白い所は、1.2.3巻それぞれのニュアンスが違う所だ。どれもいい。うまいなあ、やってくれるなあ、と思ってしまう。
この3巻は、1.2と来て、最後に巧い具合に『恋愛』と『家族』のテーマを融合させて、完結に導いている。無理がないからスンナリと読めてしまうが、ここまで見事にこの2つのテーマを消化させるのは並大抵の事ではないだろう。
私としては、ストーリーの流れが急速に意外な方向に走り始めた部分があり、その驚きが最後まで飽きさせずに読むことができた。『あの人はどうなっちゃうんだ？』というのも、最後には納得してしまう。小さな引っ掛かりを読者に持たせたまま進んでいく所も実に巧い。

読み終えた後には爽快感が残る。清々しいきもち、あたたかな人間模様に触れたい方には是非おすすめ。

1、2巻もよかったですが、この3巻が一番面白く感じました。
いくえみさんの本領が発揮されていて、軽妙なテンポの会話も健在です。

この巻では、長女のひろのと、長男の顕の恋愛がメインになっています。
それぞれの恋愛が緩やかに進んでいく様は、読んでいて心地良く、素直に恋愛っていいなぁ、と思えるシーンがたくさんありました。
でも、「恋破れる女の子」の心理も同時にちゃんと描かれているので、幸せ感と切なさを交互に味わうことができる作品になっています。
甘いだけじゃない少女漫画を読みたい方にお勧めです。