ロイ・ディメオ・・・これは虚像か真実か?
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ロイ・ディメオと言えば
ニノ・ガッチのルテナントとして名高い筋がね入りのマフィア
自動車窃盗団をひきい表向きは合法なビジネスも成功させファミリーでも上位の稼ぎ頭として知られた男だ
特に彼のクルーは請負殺人の数でも突出していて、自らが営むバー脇の部屋で数十件強の殺人を行なっていた。その非情さでも有名で他のマフィア関連の書籍でもロイは冷酷な殺人マシーンとして描かれている。
事実の羅列を見るとロイは血も涙もないマフィアだが
本書は息子から見た父親としてのロイ・ディメオが描かれていて、いやがおうにも感情移入してしまう
息子のアルバートからみたロイは実に暖かい、生業を除けば理想的とも言える父親だったようだ。ロイのテディベアのような愛嬌ある風貌も手伝い、世間一般に言われるロイの非情な印象は幾分も薄くなる。
さらに人気マフィアドラマの「ソプラノズ」の主役トニーと重ねてロイを見るとなかなかおもしろい。
しかし、ロイが数多くの犯罪を犯していたのもまた事実。息子の著作ということも念頭に置かなければならないだろう。家族ほど自分を贔屓目で見てくれる人間はいないのだから・・・
読みものとしては、マフィアの人間的な実像に迫る珍しいもので、父親としてのマフィア物なので「ゴッドファーザー」や「ロード・トゥ−・パーディション」好きにも推薦!