人の生きる道のYの字ってのは
★★★★☆
絶対に入りたい会社の面接で、調子にのって口をすべらせた。
そして私は、人の生きる道っての左側にいった。
コツンといった。
そこで出会った人がいて、笑った時間があって、大切にしたいものに出会った。
もし私が調子に乗らず、口をすべらせなかったら私は人の生きる道っての右側にいったことになる。
そうしたら、今の私は消えるのか。その先にあるYの字で左側に二回いくのか。誰もしらない。
無限に続くYの字の連鎖のなか、選んで足して塗りなおして書きたして、今ここにいる。
佐藤 正午のYは、そういう小説だ。
主人公にはどうしても取り戻したい過去がある。それを信念で取り戻す。
時をかける少女みたいな話かと思いながら読み始めたけど、私は時かけは嫌いだ。やり直して元通りなんてありえない。Yの字を左側にいった先にも沢山の選択をしているはずなのだ。過去に戻った限り今は失われるべきだと私は思う。そこがこの話は上手に使われていて面白い。そうあるべきだとも思う。大事なものは二つもてない。本当に大事なものは両手で包むものだ。
どうしても取り返したい過去なんて私にはない。今が幸せだと望んだものだと口先だけでなくいえる私に、悔やむ過去など何ひとつない。後悔は時間の無駄だ。反省はして次に生かすべきだけど。
ちいさな奇跡とスパイスとYの字で今日って日がつくられてる。
いつ選んでるなんて分からないからこそ、どんな今日だって自分次第でOKにできる自分でいたいと思う。
読み出したら止まらない.
★★★★★
最高におもしろいです。
少しずつ謎が明かされていき、どんどんのめり込んでしまいます。
結構複雑なストーリーなのですが、作者の書き方が非常にうまいと感じさせられます。レトリックに関しては、村上春樹の影響を受けているような印象を受けます。村上春樹の小説が好きな人は、きっとこの小説も気に入るでしょう。
時空を超えたラブストーリー
★★★★☆
過去に戻るという発想だけでなく、物語に登場する人物の過去と現在の物語がうまく繋がっていて、読みやすかった。ただ、せっかく過去に戻った北川が色々な人を助けようとした挙句、自らが大きな怪我を負ってしまい、かつ、好きだった女性が親友の妻になってしまうという現実がとても切なかった。次の1998年9月6日にまた過去に戻った北川はどんな人生を送るかは分からないが、他の人間の幸せを想う彼には誰よりも幸せになってほしいと思った。
究極のストーカー・ストーリー?
★★★☆☆
これはラブ・ストーリーとはいえないなというのが感想です。
私が女なので厳しいのかもしれませんが容姿以外にその女性にまったく魅力を感じられないので、なぜ彼がそこまで思い込むのかまったく理解できませんでした。
そこが基の話なので設定が弱い気がする。話の展開はなかなか面白く読めたのですが。
元ネタ本の「リプレイ」を読んでいたので、興味を持ち読んでみましたが正直「リプレイ」のほうが面白いと思いました。
過去の自分が現在の自分を支えている
★★★★★
過去の行動を悔いることはよくあります。“もう一度やり直せたら”と思うこともしばしばです。
しかし、この本を読むと、人生をやり直すことが幸せとは限らないと感じます。
それまでの人生を否定して過去に戻ることに“ためらい”を覚えない人はいないでしょう。
しかも、“未来”を知っていることで、自分の行動や可能性を狭くしてしまうかもしれません。
この本では、人生をやり直しても、前の人生で縁のあった人とは、関係を変えても、関わりがあります。何が起ころうとも、“代わりになる人なんていない”ということです。
何度、人生をやり直しても幸福になるとは限らない。それならば、この人生を前向きに生きようと励ましてくれます。