ハード・ロックだが、ブラック・ミュージックの要素がかなり強い
★★★★☆
78年発表の1st。グループとしての第一作目となる。メンバーはカヴァディルの他、ミッキー・ムーディ(g)、元ベイブ・ルースのバーニー・マーズデン(g)、元コラシアム2のニール・マレイ(b)、元ストリート・ウォーカーズのディビッド・ドウル(dr)、キーボードにジョン・ロードという布陣。元々キーボードも元ストリート・ウォーカーズのブライアン・ジョンストンだったが、ピート・ソリーに交代、更にジョンに交代といきなりのメンジーチェンジの連続・・・そこでこのタイトルになったのかもしれない。ジョンのキーボードは差し換えで録音された。
1.はパーブルに近い印象のハード・ロック。スピード感がなかなか素晴しい。2.はアメリカン・ロック/ソウル的なポップさを持った曲。ソロの延長線上の曲と言って良いと思う。3.もやや重めのロックンロールといった趣向で、突き抜けた明るさを持っている。4.は何とビートルズの曲をファンク仕立てで聞かせていてなかなか良い。
当初のメンバーにストリート・ウォーカーズのメンバーが二人含まれていたこともあってか、本作で指向しているのはむしろパープル的なハード・ロックではなく、ファンクやソウルなどのブラック・ミュージックである。言い換えればそれは末期のパープルを更に一歩押し進めたとも言えるわけだが、パープルと比べるとやや音が軽く、ポップな曲が多い。しかしながらスピード感という意味ではパープルと同等、もしくは超えており、ソロ名義の作品とは完成度という意味においても登る山が違う感じである。当然、後のメタル・サウンドはほとんど聴かれないが、本来のカヴァディルの音楽性を考えれば本作の方が自然。後のサウンドを考えると、まだ方向性が定まっているとは言い難いが、グループの第一歩としてはまずまずだと思う。ツイン・リード・ギターをたっぷりと聞かせてジョンの素晴しいソロをフューチャーしたインストの8.なども含み、なかなか聞き応えのある作品である。