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グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)

価格: ¥704
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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前作とやや趣が異なる ★★★★☆
「チャイルド44」に続き、こちらもラストまで一気に読ませます。
人物の背景や人間関係については前作が前提なので、
読んでいない方はまずそちらから読むべきです。

本作は前作に比べ「謎」を多くの伏線から解き明かす、ということよりも、
一本の道順に従って物語が進んでいく、という印象です。
その意味では謎解き的なものをミステリーに求める向きには今ひとつかもしれません。
もっとも物語は前作に続きとても面白く、その点では期待は裏切らないでしょう。

ただ他の方が書かれているとおり、アクションシーンが非常に多く、
ちょっとやりすぎかなと思います。映像化に向いていそうです。

-以下ややネタバレです-

個人的にはアクションシーンにページを割くのであれば、
もう少しスターリン体制からフルシチョフ体制下での社会の変化、人々の実生活の変化
について掘り下げて欲しいところでした。
視点人物がソ連の人なので仕方ないですが、
ハンガリー動乱の下りについても、民衆や社会のリアルな機運が描けていると
よりよいものになったのではないかと思います。
展開の速さはさすが ★★★★☆
展開の速さはさすが、の『チャイルド44』続編。
前作に対してミステリーとしては敵わず。でもこの時代の旧ソ連への興味をかきたてるという点においては
前作と引き続き、eye opener的な作品群になっていると思う。

レオが主人公としたシリーズは、もう1冊出る予定らしい。
ネステロフがいなくなることは受け入れ難かったので、復活してくれると嬉しい。
好漢 ティムール・ネステロフは本当に死んでしまったのか。 ★★★★★
1956年の共産党党大会におけるフルシチョフのいわゆる「秘密報告」(the Secret Speech)という大舞台設定の下、国家保安省捜査官時代の業と家族の分裂に翻弄される凄絶なレオの姿が痛ましい一作。

スリルとサスペンスの濃度では前作『チャイルド44』の方が上であったが、小説としての重厚さという点ではこちらの方が上であるように感じる。冒険小説としても、例えば下水道での逃走劇や囚人輸送船内での争闘場面など、手に汗握る場面も多かった。

それにしても、ネステロフは本当に死んでしまったのか。後でひょっこり復活してくるのであろうか。下巻を読むのが楽しみである。

この作家、恐るべし。。。 ★★★★★
前作チャイルド44がデビュー作ながら各誌絶賛の嵐で、ミステリー誌ランクでも1位を独占した傑作でした。スパイ小説でありながら、冒険活劇小説として比較すべき作品がないと思うほど完成度が非常に高い作品で、続編があるということで楽しみにしていた私ですが、何と一年もしないうちに続編が到着。でも前作ほどの評判にあたらないといった感じで、あまりに良く出来た作品の後で、肩透かしを食らった?そんな本作かと、おそるおそる購入し読んでみました。良い意味で予想に反し、またも素晴らしい出来。前作の旧社会主義国の暗躍とした社会を舞台ですが、主人公が1作目で構築した部分が崩壊し、前作同様スパイ、冒険小説の手に汗握る醍醐味に、復讐劇も加わり、物語の展開は急展開をつげます。アクション小説のスパイスもちりばめ、背景には究極の家族愛、家族小説としての深部がストーリーの底辺を形成づくっています。
良い意味で前作に負けない、充実作であることは間違いないでしょう。
「無私の愛は強い憎しみに勝てるのか」を問う最終行が熱い感動を呼ぶ大河小説第2部。 ★★★★★
衝撃の処女作「チャイルド44」が大成功を収めたイギリス冒険ミステリー界の若き旗手スミスの大河警察小説・捜査官レオ・デミドフ・シリーズ3部作注目の第2部です。本書もまた前作と似た構成で、捜査官レオの国家保安省時代の暗い過去に遡って物語を始め七年後に彼が国家の命により為した悪行の影響が現われるという形が取られています。
七年前レオが潜入捜査官として逮捕した元司祭ラーザリの件に係わった者たちが次々に殺される。今やモスクワ殺人課の責任者となったレオが事件を追う内に、嘗て収容所送りとなったラーザリの妻アニーシャが容疑者として浮上する。彼女はフラエラと名を変えモスクワに暗躍する犯罪者集団ヴォリのリーダーとなっており、レオの養女ゾーヤを誘拐して元夫ラーザリの釈放という困難な要求を突きつける。レオは部下のネストロフを伴い極寒の強制収容所グラーグ57からラーザリを脱獄させる極秘裏の作戦に挑むのだった。
本書は前作と違って警察の同胞から追われる展開ではありませんが、囚人護送船での事故による争いや強制収容所での手違いによる拷問等、周到に練られた計画が齟齬を来たす予期せぬ事態に対処するサスペンスが味わえます。全編に渡りフラエラに踊らされ下水道から収容所を経てハンガリーまで慌しく追跡する長大な冒険物語ですが、本書を流れる最も重要なテーマは「無私の愛は強い憎しみに勝てるのか」でしょう。レオの部下に両親を殺された幼い姉妹の姉ゾーヤが、レオに養子にもらわれながら心許さず親の仇と同列に考えて頑固に憎み続ける心を変える事が出来るのか、夫を逮捕された怨みから心が歪み悪党に変貌したフラエラが復讐する怨念の戦いに終止符が打てるのか。著者は今回トリックや意外性を捨てて真っ向勝負のストレートで大長編を書き上げました。「ゾーヤがレオの手を握った」という唯一事でレオの全ての苦労が報われると思える感動のラストを私は讃えたいです。